議会基本条例を正しく運用する議会に！

今回はいつにも増して長いです。
大事なことを書いたので、何とか最後まで読んでください。

『安曇野市議会基本条例』という条例があります。

議会基本条例というのは、
全国の市町村で制定が進んでいる議会の憲法とも言えるもので、
地方議会運営の基本原則を定めたものです。
我が安曇野市議会は、昨年2013年7月から施行されました。

旧態依然とした議会を、議員自らが改革していくために、
議会のあるべき姿を、議会基本条例は条文で示してくれています。
法律であるため、多数派・少数派の強弱によらず、
無所属議員にとっても、この条例は大きな武器になるのです。

この議会基本条例を正しく運用していくことが、
安曇野市議会を真の議会にしていくこと、
そして市政における議会の役割を果たすことに繋がるのです。


この議会基本条例に関連した議会のここ最近の様子を2つお伝えしたいと思います。

１つ目は議員間の討論をし、合意形成をするということ。

議会基本条例に次の条文があります。

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第５章 議員間の討議による合意形成

（議会の合意形成）
第14条 議会は言論の府であることを十分に認識し、
　　　 議長は議員相互間の自由な討議を中心に運営しなければならない。

　　２ 議会は、本会議及び委員会において議案を審議及び審査し結論を出すときは、
　　　議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。

（政策討論会議）
第15条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題に対して共通認識を図り、
　　　合意形成を得るため、政策討論会議を開催することができる。

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安曇野市を良くしていきたい、という気持ちは25人の議員みな同じ。
25人の議員が議会の中で、自分の意見や考えを忌憚なく出し合い、一致点を見出していく。
その権利と責任をこの条文はうたっています。

4月は松枯れ病対策と北小倉廃棄物処理施設問題について議員間討論が行われました。

行政からの説明を受ける機会を設けたり、現地の視察をしたり、
そして議会としての見解を出すための議論の場を設けるなど、
それなりの時間を取り、意見を出し合う機会を設ける、という点では、
この議会基本条例をしっかりと実践しようとしています。

一方で、その議論の深まりや議会として合意を形成する、ということについて言えば、
まだまだ緒に就いばかり。（いえ、まだ就いたとも言えない試行錯誤の状況かも。）

松枯れ対策についての話し合いでは、様々な意見が出たのですが、
それが翌日の市民タイムスの紙面では、
「市議会、薬剤の空中散布 推進要望」というふうにまとめられ、
これが市議会としての合意となってしまったことに非常に驚きと違和感を覚えました。
ここまで言えるほどの合意形成やそれに至るだけの論点も絞り切れず、
議論の深まりがあったとは思えなかったからです。

松枯れ対策についての議員間討論については小林純子議員のブログに詳しいので、
そちらを見てください。


２つ目は議員と市民の関係です。
議会基本条例に次の条文があります。

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第３章 市民と議会の関係

（市民参加及び市民との連携）
第６条 ５ 議会は、市民の多様な意見等を把握する場として、
　市民との意見交換の場を設けるものとし、市民から意見交換会開催の要望があったときは、
　これに応じるよう努めるものとする。

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北小倉廃棄物処理施設問題で、住民側は議会に対して、
防音壁の件で請願を出しており、9月議会で全会一致で採択されました。

その請願の内容は

①議会として現場を見学し、見解を示してください
②市の調査結果と住民の調査結果を比較検討し、検証してください
③安全性が不十分と判明した場合は、住民が安心安全に暮らせるように、
　市に働きかけてください。

というものでした。

全会一致の採択から7か月が経った4月14日に、
ようやく議会は北小倉の施設を現地視察したのです。
（※ちなみに施設内の見学は、業者が安曇野市議会に対しての
　　不信感があるという理由で拒否されました。）

現地を視察したものの、新人議員が半数以上の議会では、
複雑に絡み合った本件の経緯や問題点を把握することは困難で、
行政、業者、そして住民の三者からの意見をしっかりと
聴かなければ議会としての判断ができないわけです。

行政は説明を行い、業者は議会とのやりとりを拒否。
一方、住民側からは今年の1月末に、北小倉区長、北小倉対策委員会、
堀金地区対策委員会の三者名で、議会基本条例6条の5に基づき、
意見交換会の場を設けてほしいという要望が環境経済委員会に出ているのです。

僕は当然住民との対話の場を設けるのだろうと思っていました。

ところが、そのことを検討する議員全員協議会の場では、

「係争中なこともあり、これ以上は立ち入らない方がいい。」
「防音壁の問題なのに、操業停止に結び付けるのはおかしい。」
「係争の判断は裁判所が、許認可については行政がやる。
　議会としてはやれることがない。お気の毒としか言えない。」
「これは議会全体でやることではない。個々の議員活動においてやればいい。」

などという意見。

これでは、議会の無責任さや無能さを自らさらけ出しているようなものではないですか。
この場には傍聴に来られている市民は誰も居ませんでした。
市民が傍聴に来ていた場合でも、こんなふうに言えるのでしょうか。
でも、これが議員の本音なのでしょうかね。「関わりたくない。」

議会のやることは、市民の思いに寄り添うこと。
まずは市民が条例に基づき、議会との意見交換会を求めているのに、
それを受け入れない議会とは？

このやりとりには本当に疲れてしまいました。

その後、議論のまとめはされず、議長預かりに。
そして1週間後の全協の場で、議長から、

「本件は係争中ということもあり、今のところ推移を見守り、意見交換会はしない。
　これについては議長判断ですが、これについての今後の検討は議会運営委員会で行う。」

と言われました。

議会基本条例6条の5
「議会は、市民の多様な意見等を把握する場として、
　市民との意見交換の場を設けるものとし、
　市民から意見交換会開催の要望があったときは、
　これに応じるよう努めるものとする。」

議会は今までは係争中のもの、厄介なものには取り組んでこなかったのかもしれません。
でも、そこを乗り越えましょうよ。向き合いましょうよ。
まず住民の思いに寄り添いましょうよ。
僕たちも変わって、議会も生まれ変わりましょうよ。


行政も、議会も、議員も、市民も、僕も
それぞれが脱皮して、もう一歩進んだ市民政治を創っていきましょうよ。