こども観のアップデート~川崎市夢パークを視察して~
- 2023/01/13
- 12:03
まだ発信していませんでしたが、昨年12月18日に有志で行った「夢みる小学校」上映会。
https://www.dreaming-school.com/
会場の豊科公民館に350人もの来場者がありました。
その2日前に池田町でも上映会が行われており、
それも足すと約600人の方たちがこの映画を見てくれました。
感想アンケートには、
「こんな学校があったのか!」という驚きや
「安曇野市の公立学校でも同じように取り組んでもらいたい」などの意見がありました。
この600人の方たちの存在は、この地域のこれからの学校を考えていく上で、
とても大きな力になっていくのではないかと思いました。
さてこの映画上映の流れも受けて、
先頃神奈川県川崎市にある「夢パーク」という子どものための施設を視察してきました。
工場跡地に川崎市が作り、民間NPOが運営している「夢パーク」が始まったのは2003年のことです。
火も使える、水も使い放題で泥遊びやダムづくりもできる。
自主保育をするグループ合ったり、「ケガと弁当自分持ち」でノコギリなどを使っての木工もできる。
そんな「禁止」の無い遊び場=プレーパークです。
その他にも全天候型のスポーツエリアがあったり、
バンド練習ができる音楽エリアがあったり、それら仕様はすべて無料。
また不登校の子どもたちの過ごせる居場所となるフリースペースもありました。
まあ実際に見ましたが、子どもたちが元気に遊んでましたよ。

この夢パーク、映画「ゆめパのじかん」やNHK番組「ドキュメント72時間」でも有名になってるのですが、
http://yumepa-no-jikan.com/
いきなりこれらの施設ができたわけではない。
こういった場所が生まれた背景や土壌があったわけです。
それは川崎市という、1980年にあった子どもが親を金属バットで殴り殺すなどの
悲惨な事件があったことなども無縁ではなかったようです。
何とかしなければ、という。
そんな時1989年に世界の約束事として、子どもの権利条約が国連で採択され90年より発効しました。
この条約に日本は1994年に批准しました。
この条例の主な理念として、「児童の最善の利益」「差別の禁止」を挙げ、児童の権利を4つに分類しています。
生きる権利 - すべての子どもの命が守られる権利
育つ権利 - 教育や医療、生活への支援などを受ける権利
守られる権利 - 暴力や搾取、有害な労働などから守られる権利
参加する権利 - 意見を表現しそれが尊重される権利、自由に団体を作る権利
一番大きな観点は、子どもが保護される「対象」から、権利の全面的「主体者」である、
という子ども観の転換でしょうか。
そしてこの条約の理念に基づき、全国でいち早く自治体として、子どもの権利保障を総合的にとらえ、
実効性のあるものにする制度や仕組みを盛り込んだ内容の
自治体条例(子どもの権利条例)を作ったのが川崎市だったのです。
23年も前の2020年のこと。
この条例を作るために、2年間で200回以上の会議を設け、その会議には子供の意見も反映させたとのこと。
夢パークはこういった土壌のもとに、条例を根拠にできたんですね。
条例制定後も川崎市の取り組みは今に続いています。
さて昨今、私たちが上映会をやった「夢みる小学校」や「ゆめパのじかん」などの映画が製作され、
全国各地で自主上映が盛んに行われています。
それはなぜでしょうか?
それは国際間の決め事の条例ができて30年以上も経つのに、
いまだ児童虐待や子どもの不登校は増え続ける。
子どもたちを取り巻く状況が改善どころか、さらに過酷なものになっている。
コロナも含めていろんな状況と理由はあるでしょうが、
この「子どもたちが権利の主体者」であるという観点、
すなわち子ども観がいまだ我々大人側でアップデートできてないからではないでしょうか。
身近なところで言えば、まず子どもの意見を聴こうとせずに、
簡単に頭ごなしに叱りつけてしまう。親も先生も。
校則なんてのも、大人が子どもの意見を聞かずに作り出し、縛り付けてるとしたら、
これは権利の侵害以外の何ものでもありません。
これまでも、子どもたちのために、と思ってやってきたし、議員としても発言してきました。
それでも、どこまで「子どもたちは権利者」「子どもたちの権利」という観点でやってきたか、
大いに振り返ってみる必要があると思っています。
子ども観の転換。
さてここからが大事。
今年2023年4月より、国は子ども基本法を施行し、
子ども政策の司令塔となる子ども家庭庁ができます。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_suishin/index.html
この基本法の中には「こどもの意見を表明する機会が確保される。意見が尊重される。」
というこどもの意見表明権も盛り込まれています。これはこれまでの法律には無かった。
全国的に有名になった長野市の公園廃止の問題も、
子どもの意見を表明する機会を大人たちが確保していたのかという観点からみると、
子どもの権利を尊重できてなかったと言えるでしょう。
今後、行政や我々議員が子どもへの施策・政策を考えるうえで、
子どもの権利条約、こども基本法を根拠にした子どもの権利(参加する権利など)を軸にしていくこと。
そのためにも我われ大人の子ども観(分かりやすく言うと大人の子どもへの眼差し)が
アップデートできているのかが肝要です。
もちろん、親としての子育てにおいても。大人として子どもに向き合う時にも。
夢みる小学校も夢パークも、子ども観がアップデートされた場としてあるのだと感じました。
長くなりました。ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。
3月定例会一般質問でこのテーマを取り上げようと思います。
https://www.dreaming-school.com/
会場の豊科公民館に350人もの来場者がありました。
その2日前に池田町でも上映会が行われており、
それも足すと約600人の方たちがこの映画を見てくれました。
感想アンケートには、
「こんな学校があったのか!」という驚きや
「安曇野市の公立学校でも同じように取り組んでもらいたい」などの意見がありました。
この600人の方たちの存在は、この地域のこれからの学校を考えていく上で、
とても大きな力になっていくのではないかと思いました。
さてこの映画上映の流れも受けて、
先頃神奈川県川崎市にある「夢パーク」という子どものための施設を視察してきました。
工場跡地に川崎市が作り、民間NPOが運営している「夢パーク」が始まったのは2003年のことです。
火も使える、水も使い放題で泥遊びやダムづくりもできる。
自主保育をするグループ合ったり、「ケガと弁当自分持ち」でノコギリなどを使っての木工もできる。
そんな「禁止」の無い遊び場=プレーパークです。
その他にも全天候型のスポーツエリアがあったり、
バンド練習ができる音楽エリアがあったり、それら仕様はすべて無料。
また不登校の子どもたちの過ごせる居場所となるフリースペースもありました。
まあ実際に見ましたが、子どもたちが元気に遊んでましたよ。





この夢パーク、映画「ゆめパのじかん」やNHK番組「ドキュメント72時間」でも有名になってるのですが、
http://yumepa-no-jikan.com/
いきなりこれらの施設ができたわけではない。
こういった場所が生まれた背景や土壌があったわけです。
それは川崎市という、1980年にあった子どもが親を金属バットで殴り殺すなどの
悲惨な事件があったことなども無縁ではなかったようです。
何とかしなければ、という。
そんな時1989年に世界の約束事として、子どもの権利条約が国連で採択され90年より発効しました。
この条約に日本は1994年に批准しました。
この条例の主な理念として、「児童の最善の利益」「差別の禁止」を挙げ、児童の権利を4つに分類しています。
生きる権利 - すべての子どもの命が守られる権利
育つ権利 - 教育や医療、生活への支援などを受ける権利
守られる権利 - 暴力や搾取、有害な労働などから守られる権利
参加する権利 - 意見を表現しそれが尊重される権利、自由に団体を作る権利
一番大きな観点は、子どもが保護される「対象」から、権利の全面的「主体者」である、
という子ども観の転換でしょうか。
そしてこの条約の理念に基づき、全国でいち早く自治体として、子どもの権利保障を総合的にとらえ、
実効性のあるものにする制度や仕組みを盛り込んだ内容の
自治体条例(子どもの権利条例)を作ったのが川崎市だったのです。
23年も前の2020年のこと。
この条例を作るために、2年間で200回以上の会議を設け、その会議には子供の意見も反映させたとのこと。
夢パークはこういった土壌のもとに、条例を根拠にできたんですね。
条例制定後も川崎市の取り組みは今に続いています。
さて昨今、私たちが上映会をやった「夢みる小学校」や「ゆめパのじかん」などの映画が製作され、
全国各地で自主上映が盛んに行われています。
それはなぜでしょうか?
それは国際間の決め事の条例ができて30年以上も経つのに、
いまだ児童虐待や子どもの不登校は増え続ける。
子どもたちを取り巻く状況が改善どころか、さらに過酷なものになっている。
コロナも含めていろんな状況と理由はあるでしょうが、
この「子どもたちが権利の主体者」であるという観点、
すなわち子ども観がいまだ我々大人側でアップデートできてないからではないでしょうか。
身近なところで言えば、まず子どもの意見を聴こうとせずに、
簡単に頭ごなしに叱りつけてしまう。親も先生も。
校則なんてのも、大人が子どもの意見を聞かずに作り出し、縛り付けてるとしたら、
これは権利の侵害以外の何ものでもありません。
これまでも、子どもたちのために、と思ってやってきたし、議員としても発言してきました。
それでも、どこまで「子どもたちは権利者」「子どもたちの権利」という観点でやってきたか、
大いに振り返ってみる必要があると思っています。
子ども観の転換。
さてここからが大事。
今年2023年4月より、国は子ども基本法を施行し、
子ども政策の司令塔となる子ども家庭庁ができます。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_suishin/index.html
この基本法の中には「こどもの意見を表明する機会が確保される。意見が尊重される。」
というこどもの意見表明権も盛り込まれています。これはこれまでの法律には無かった。
全国的に有名になった長野市の公園廃止の問題も、
子どもの意見を表明する機会を大人たちが確保していたのかという観点からみると、
子どもの権利を尊重できてなかったと言えるでしょう。
今後、行政や我々議員が子どもへの施策・政策を考えるうえで、
子どもの権利条約、こども基本法を根拠にした子どもの権利(参加する権利など)を軸にしていくこと。
そのためにも我われ大人の子ども観(分かりやすく言うと大人の子どもへの眼差し)が
アップデートできているのかが肝要です。
もちろん、親としての子育てにおいても。大人として子どもに向き合う時にも。
夢みる小学校も夢パークも、子ども観がアップデートされた場としてあるのだと感じました。
長くなりました。ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。
3月定例会一般質問でこのテーマを取り上げようと思います。
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