2022年度当初予算案の解説と予算案トーク
- 2022/03/11
- 18:58
3月定例会も委員会審査が終わり、
いよいよ最終日の議決だけになりました。
福祉教育委員会での陳情審査では、
「化学物質過敏症の認識を広め、香害宅策を求める陳情書」が採択され、
これが本会議でどうなるかが注目です。
さて発信が遅くなりましたが、
今回の定例会の最重要議案である令和4年度予算案について解説します。
市の新年度の取り組みは多岐にわたりますので、全てはお伝え出来ませんが、
私が注目する観点でお伝えできれば。
少し長いですが、読んでみてくださいね。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度に、どのようなことに、どれだけお金を使うのか(歳出)。
それが示されているのが予算案です。
予算書は各事業ごとに歳出金額とその財源が書かれています。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/50207.pdf
この資料だと何のことかよく分からないかもしれませんが、
各施策についてまとめた説明書もあります。
これは事業別になっているので、興味のある分野を見てみてください。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/50220.pdf
この予算書を見て、
「私たちの暮らしはどうよくなっていくのか?」
「子育ては、教育は、福祉は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?」
ということを読み解き、チェックするのが我々議員&議会の仕事です。
この予算案を18日の議会最終日に議決・承認するという過程を経て、
行政はこの予算を4月から執行していきます。
議会が反対多数で否決すれば予算執行できません。
ここまでが前振り。
ここからが本題。
令和4年度予算案の総額は約426億円。
昨年令和2年度より約16億円増えていて、9年連続の400億円越えの大型予算です。
約426億円使う(支出)ということは、それだけの財源(収入)があるということ。
ではまずはこの426億円はどこから集められてくるの?
という、お金の入り(=これを歳入という)について。
●歳入
・市税(市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など)が約112億円(26.3%)。
・国からの交付税(国に集められた税金を地方自治体に配分。)が約114億円(26.6%)。
・国や県の支出金(ある事業に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの)が約68億円(16.1%)。
・市債(市の借金で将来にわたって返していく)が約38億円(8.9%)。
・繰入金(基金=家庭で言えば貯蓄、の取り崩し)が約20億円(4.6%)が主だったところ。
※( )の%は全体額に対する割合です。
自主財源と言われる、国に頼らない市独自のお金は主に市税。
これが全体の3割を切ります。
これでは到底やっていけないので、
国や県からお金を配分してもらっているわけです。それが約4割。
これとは別に市債を発行しての借金、
そして貯金の取り崩しで確保します。約1割強。
これが安曇野市のお金の入り方です。
歳入はいつも3点注目しています。
まず市が自分で稼ぐ力とも言える市税。
これは前年より約5億円増の112億円になっています。
コロナ禍の状況下にあっても、少し強気な算定です。
次に市の借金である市債の発行額はどうなっているか。
これは約1億円減の約38億円。
市は借金をするともに、歳出で公債費という借金の返済も予算化しています。
この公債費が約57億円です。
返済額(約57億円)の方が借金額(約38億円)より大きいので、
将来負担は減ることになります。
最後に家庭で言えば貯金にあたる基金について。
すべての基金からの繰入額は前年より約25%約7億円減の約20億円です。
基金についてもう少し書くと、いくつもある基金の中で、
自由度高く使える財政調整基金(=財調)があります。
この2年間のコロナ禍において、行政は様々な支援をしてきましたが、
国の交付金を財源としたものが多かったので、
財調の残高は約51億円(令和3年12月定例会時点)あり、健全な状態にあります。
「もっとこういった状況なのだから、積極的に財政出動して、
経済の活性化、市民の生活の下支えをすべきだ。」という意見も議会では出ています。
では次にこのお金を何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●歳出
・ワクチン接種で約2億9千万円。この財源は全て国負担です。
5歳~11歳の接種が安曇野市でも始まりますが、
僕はこの年代の子どもたちへの接種は慎重であるべきだと考えています。
これについてはまた改めて書きます。
・アフターコロナ対策事業で8698万1千円
穂高神社の式年遷宮祭に合わせて、
駐車場広場でマルシェなどを行うイベント「あづみ野てらす」を開催。
宿泊割引の観光クーポンの発行など。
市の観光・経済に賑わいを取り戻そうというもの。
他に僕が課題として追っているもの、テーマでは、
・空き店舗や空き家を活用して事業を始める場合、改修費用を補助で400万円。
過去に空き店舗を活用して創業した場合に家賃補助の制度がありましたが、
今回は通常の空き家を活用した場合の創業に対しての補助です。
一般質問で提案してきた「スモールソーシャルビジネス」を後押しする事業と捉えています。
※空き家の利活用についての補助金は他にもあります。
・自然保育のブランディングで769万1千円。
地域おこし協力隊2名を採用して、安曇野の強みである自然保育の推進を図ります。
新年度は穂高のあおぞら認定こども園では園庭でお米作りを始めるとのこと。
田植えと稲刈りだけの関わりなら体験ですが、園庭で稲を作れば、子どもたちも稲の出穂に驚くことでしょう。
・保育業務のICT化で3945万9千円。
子ども園全園にWi-Fi環境を整備し、保育業務を支援するシステムを導入するとのこと。
Wi-Fi常時接続による子どもへの電磁波影響は無いという研究調査による、との説明がありましたが、
これは実際の運用でどうなるか確認しなければなりません。
・マウンテンバイクコース(MTB)事業
4月より堀金の啼鳥山荘周辺にMTBコースができます。
管理費で1824万3千円、付帯設備整備で3148万4千円、MTB教室27万円です。
太田市長は「安曇野をアウトドアスポーツの聖地に!」と言っています。
経営不振のほりで~ゆの活用にも繋がればいいのですが。
個人的には、地球宿のゲストさんに紹介し、大いに盛り上げられればと思っています。
・DX推進事業で3715万9千円
DXとはデジタルトランスフォーメーション=デジタル変革のこと。
行政手続きのオンライン化等を進めます。
・水資源対策費で1628万9千円
安曇野が誇る宝と言えば水。地下水の保全は重要課題です。
年末にワサビ農家の圃場を見学し、地下水の減少について訴えを聴きました。
市の計画には地下水涵養のための負担金制度があったのですが、
その使い道として予定していた冬季の田んぼに水を貯める「冬水田んぼ」が、
水利権の関係で河川から水を引けないと分かり、制度の見直しなとなりました。
融通の利かない状況が歯がゆいですが、引き続き注目していきます。
・地球温暖化対策事業で1429万2千円
2050年のゼロカーボン達成は国を挙げての目標で、
安曇野市でもそこに向けた取り組みが必須です。
新年度には温暖化対策実行計画が作られますが、
実効性のある施策ができるのか注目です。
松本市と信州大学がリーダーとなった、産官学のコンソーシアムに安曇野市も参加。
エネルギーの地産地消の取り組みは、
僕も所属する総務環境委員会の政策提言テーマでもあります。
・公共交通事業で1億2001万9千円
市民のみなさんも注目している公共交通について。
デマンド交通あづみんは、AI(人工知能)による送迎時間のお知らせができるようになります。
また2台の増車もあり、利便性が向上されます。
・その他にも、太田市長はグループ公募型の市政懇談会の開催もやるそうです。
ぜひテーマを持って活動している方は応募して、市長と意見交換してみてはいかがでしょう。
以上、予算案の一部です。
今回は一つ新しいチャレンジをしました。
それは市民のみなさんと有志の議員とが予算案についてトークする場をオンラインで持ったことです。
これまでは、今回のような発信をしたり、議会終了後に報告をしたりはしましたが、
事前に対話するということはしてきませんでした。
我われ議員は、それぞれの観点から注目している施策の説明をし、
それについての市民からのコメントをもらったり、
市民のみなさんが注目する事業について質問を受けるという場でした。
会派を超えて5人の議員と13人の市民が参加してくださり、
市政のことをそれぞれの立場から考え合ういい機会となりました。
いよいよ最終日の議決だけになりました。
福祉教育委員会での陳情審査では、
「化学物質過敏症の認識を広め、香害宅策を求める陳情書」が採択され、
これが本会議でどうなるかが注目です。
さて発信が遅くなりましたが、
今回の定例会の最重要議案である令和4年度予算案について解説します。
市の新年度の取り組みは多岐にわたりますので、全てはお伝え出来ませんが、
私が注目する観点でお伝えできれば。
少し長いですが、読んでみてくださいね。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度に、どのようなことに、どれだけお金を使うのか(歳出)。
それが示されているのが予算案です。
予算書は各事業ごとに歳出金額とその財源が書かれています。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/50207.pdf
この資料だと何のことかよく分からないかもしれませんが、
各施策についてまとめた説明書もあります。
これは事業別になっているので、興味のある分野を見てみてください。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/50220.pdf
この予算書を見て、
「私たちの暮らしはどうよくなっていくのか?」
「子育ては、教育は、福祉は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?」
ということを読み解き、チェックするのが我々議員&議会の仕事です。
この予算案を18日の議会最終日に議決・承認するという過程を経て、
行政はこの予算を4月から執行していきます。
議会が反対多数で否決すれば予算執行できません。
ここまでが前振り。
ここからが本題。
令和4年度予算案の総額は約426億円。
昨年令和2年度より約16億円増えていて、9年連続の400億円越えの大型予算です。
約426億円使う(支出)ということは、それだけの財源(収入)があるということ。
ではまずはこの426億円はどこから集められてくるの?
という、お金の入り(=これを歳入という)について。
●歳入
・市税(市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など)が約112億円(26.3%)。
・国からの交付税(国に集められた税金を地方自治体に配分。)が約114億円(26.6%)。
・国や県の支出金(ある事業に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの)が約68億円(16.1%)。
・市債(市の借金で将来にわたって返していく)が約38億円(8.9%)。
・繰入金(基金=家庭で言えば貯蓄、の取り崩し)が約20億円(4.6%)が主だったところ。
※( )の%は全体額に対する割合です。
自主財源と言われる、国に頼らない市独自のお金は主に市税。
これが全体の3割を切ります。
これでは到底やっていけないので、
国や県からお金を配分してもらっているわけです。それが約4割。
これとは別に市債を発行しての借金、
そして貯金の取り崩しで確保します。約1割強。
これが安曇野市のお金の入り方です。
歳入はいつも3点注目しています。
まず市が自分で稼ぐ力とも言える市税。
これは前年より約5億円増の112億円になっています。
コロナ禍の状況下にあっても、少し強気な算定です。
次に市の借金である市債の発行額はどうなっているか。
これは約1億円減の約38億円。
市は借金をするともに、歳出で公債費という借金の返済も予算化しています。
この公債費が約57億円です。
返済額(約57億円)の方が借金額(約38億円)より大きいので、
将来負担は減ることになります。
最後に家庭で言えば貯金にあたる基金について。
すべての基金からの繰入額は前年より約25%約7億円減の約20億円です。
基金についてもう少し書くと、いくつもある基金の中で、
自由度高く使える財政調整基金(=財調)があります。
この2年間のコロナ禍において、行政は様々な支援をしてきましたが、
国の交付金を財源としたものが多かったので、
財調の残高は約51億円(令和3年12月定例会時点)あり、健全な状態にあります。
「もっとこういった状況なのだから、積極的に財政出動して、
経済の活性化、市民の生活の下支えをすべきだ。」という意見も議会では出ています。
では次にこのお金を何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●歳出
・ワクチン接種で約2億9千万円。この財源は全て国負担です。
5歳~11歳の接種が安曇野市でも始まりますが、
僕はこの年代の子どもたちへの接種は慎重であるべきだと考えています。
これについてはまた改めて書きます。
・アフターコロナ対策事業で8698万1千円
穂高神社の式年遷宮祭に合わせて、
駐車場広場でマルシェなどを行うイベント「あづみ野てらす」を開催。
宿泊割引の観光クーポンの発行など。
市の観光・経済に賑わいを取り戻そうというもの。
他に僕が課題として追っているもの、テーマでは、
・空き店舗や空き家を活用して事業を始める場合、改修費用を補助で400万円。
過去に空き店舗を活用して創業した場合に家賃補助の制度がありましたが、
今回は通常の空き家を活用した場合の創業に対しての補助です。
一般質問で提案してきた「スモールソーシャルビジネス」を後押しする事業と捉えています。
※空き家の利活用についての補助金は他にもあります。
・自然保育のブランディングで769万1千円。
地域おこし協力隊2名を採用して、安曇野の強みである自然保育の推進を図ります。
新年度は穂高のあおぞら認定こども園では園庭でお米作りを始めるとのこと。
田植えと稲刈りだけの関わりなら体験ですが、園庭で稲を作れば、子どもたちも稲の出穂に驚くことでしょう。
・保育業務のICT化で3945万9千円。
子ども園全園にWi-Fi環境を整備し、保育業務を支援するシステムを導入するとのこと。
Wi-Fi常時接続による子どもへの電磁波影響は無いという研究調査による、との説明がありましたが、
これは実際の運用でどうなるか確認しなければなりません。
・マウンテンバイクコース(MTB)事業
4月より堀金の啼鳥山荘周辺にMTBコースができます。
管理費で1824万3千円、付帯設備整備で3148万4千円、MTB教室27万円です。
太田市長は「安曇野をアウトドアスポーツの聖地に!」と言っています。
経営不振のほりで~ゆの活用にも繋がればいいのですが。
個人的には、地球宿のゲストさんに紹介し、大いに盛り上げられればと思っています。
・DX推進事業で3715万9千円
DXとはデジタルトランスフォーメーション=デジタル変革のこと。
行政手続きのオンライン化等を進めます。
・水資源対策費で1628万9千円
安曇野が誇る宝と言えば水。地下水の保全は重要課題です。
年末にワサビ農家の圃場を見学し、地下水の減少について訴えを聴きました。
市の計画には地下水涵養のための負担金制度があったのですが、
その使い道として予定していた冬季の田んぼに水を貯める「冬水田んぼ」が、
水利権の関係で河川から水を引けないと分かり、制度の見直しなとなりました。
融通の利かない状況が歯がゆいですが、引き続き注目していきます。
・地球温暖化対策事業で1429万2千円
2050年のゼロカーボン達成は国を挙げての目標で、
安曇野市でもそこに向けた取り組みが必須です。
新年度には温暖化対策実行計画が作られますが、
実効性のある施策ができるのか注目です。
松本市と信州大学がリーダーとなった、産官学のコンソーシアムに安曇野市も参加。
エネルギーの地産地消の取り組みは、
僕も所属する総務環境委員会の政策提言テーマでもあります。
・公共交通事業で1億2001万9千円
市民のみなさんも注目している公共交通について。
デマンド交通あづみんは、AI(人工知能)による送迎時間のお知らせができるようになります。
また2台の増車もあり、利便性が向上されます。
・その他にも、太田市長はグループ公募型の市政懇談会の開催もやるそうです。
ぜひテーマを持って活動している方は応募して、市長と意見交換してみてはいかがでしょう。
以上、予算案の一部です。
今回は一つ新しいチャレンジをしました。
それは市民のみなさんと有志の議員とが予算案についてトークする場をオンラインで持ったことです。
これまでは、今回のような発信をしたり、議会終了後に報告をしたりはしましたが、
事前に対話するということはしてきませんでした。
我われ議員は、それぞれの観点から注目している施策の説明をし、
それについての市民からのコメントをもらったり、
市民のみなさんが注目する事業について質問を受けるという場でした。
会派を超えて5人の議員と13人の市民が参加してくださり、
市政のことをそれぞれの立場から考え合ういい機会となりました。
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