★2021年度(令和3年度)の予算案について
- 2021/03/12
- 15:00
昨日は3月11日。東北の震災から10年でした。
被災地の方たちとつながり、少しでも支援ができればと有志で続けてきた「安曇野ひかりプロジェクト」
の保養プログラムも2018年夏で終了。
そこで出会った福島の人たちにも会いに2回ほど福島を尋ね、被災地の方と話もしました。
先日の福島の地震の際も安否確認の連絡をしたら、様子を知らせてくれました。
震災の支援活動で出会った人たち、安曇野で受け入れた人たちとも、
これからもやり取りをしていきたいと思いました。
さて少し発信が遅くなりましたが、今回の定例会の最重要議案である令和3年度予算案について解説します。
市の新年度の取り組みは多岐にわたりますので、その概要をざっくりとですがお伝えできれば。
少し長いですが、読んでみてくださいね。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度に、どのようなことに、どれだけお金を使うのか(歳出)。
それが示されているのが予算案です。
予算書は各事業ごとに歳出金額とその財源が書かれています。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/43672.pdf
この予算書を見て、
「私たちの暮らしはどうよくなっていくのか?」
「子育ては、教育は、福祉は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?」
ということを読み解き、チェックするのが我々議員&議会の仕事です。
この予算案を17日の議会最終日に議決・承認するという過程を経て、
行政はこの予算を4月から執行していきます。
議会が反対多数で否決すれば予算執行できません。
ここまでが前振り。
ここからが本題。
令和3年度予算案の総額は約411億円。
昨年令和元年度より約11億円減っていますが、8年連続の400億円越えの大型予算です。
約411億円使う(支出)ということは、それだけの財源(収入)があるということ。
ではまずはこの411億円はどこから集められてくるの?という、お金の入り(=これを歳入という)について。
●歳入
・市税(市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など)が約107億(26.0%)。
・国からの交付税(国に集められた税金を地方自治体に配分。)が約104億円(25.3%)。
・国や県の支出金(ある事業に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの)が約66億(16.1%)。
・市債(市の借金で将来にわたって返していく)が約39億(9.4%)。
・繰入金(基金=家庭で言えば貯蓄、の取り崩し)が約26億円(6.3%)が主だったところ。
・その他で約68億円(16.9%)
※( )の%は全体額に対する割合です。
自主財源と言われる、国に頼らない市独自のお金は主に市税。これが全体の3割を切ります。
これでは到底やっていけないので、国や県からお金を配分してもらっているわけです。それが約4割。
これとは別に市債を発行しての借金、そして貯金の取り崩しで確保します。約2割弱。
これが安曇野市のお金の入り方です。
歳入はいつも3点注目しています。
まず市が自分で稼ぐ力とも言える市税。
これはコロナ禍の影響を受けて、前年より約11億円減の107億円になっています。
次に市の借金である市債の発行額はどうなっているか。
穂高クリーンセンターや体育館などの大型事業の目途がついて約37%22億円減の約39億円。
市は借金をするともに、歳出で公債費という借金の返金額も予算化しています。
この公債費が約51億円です。
返済額(約51億円)より借金額(約39億円)の方が小さいので、将来負担は減ることになります。
最後に家庭で言えば貯金にあたる基金について。
すべての基金からの繰入額は前年より約35%多い、約7億円増の約26億円です。
基金についてもう少し書くと、いくつもある基金の中で、
自由度高く使える財政調整基金(=財調)があります。
令和2年度に、市はこの財調を切り崩して様々なコロナ対策を講じてきました。
市民の生活を支えるために、この急場に「貯金を下ろす」ことは必要ですが、
でも、「おろし過ぎて大丈夫?蓄え、無くなっちゃうんじゃない?」
という質問を議会で私は何度かやってきました。
結果、今年度は国からのコロナ対応の臨時交付金を活用して、
様々な施策に充て、一旦は積み下ろした財調に戻すことができ、
今年度末の財調残高は約50億円で元年度末とほぼ同額でした。
財政部がキッチリとかじ取りをしてくれたと評価できると思います。
では次にこのお金を何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●歳出
まずコロナ関連の対策費、
・ワクチン接種で約3億2千万円。この財源は全額国からです。
接種については市へのワクチン配分数がまだ示されず、スケジュールが定まらないようです。
・事業者への支援として制度資金貸付事業で25億円。
これは市が市内金融機関を通じて市内企業への貸し付けを行うものですが、
前年度は9億円だったので、市は3倍近い貸付を行おうとしています。
これは事業者にとってはありがたい制度だと思いますが、
貸付なので、当然返済しなければなりません。
これで何とか経営状況を立て直すことができれば。
他には、
・新総合体育館関連 約2億5000万円
令和3年10月の完成に向けて工事は順調に進んでおり、建設費用で約1億800万円(総額38億円)
体育館の備品調達で約1億4000万円です。
体育館の運営はミズノと市の体育協会らがチームを組んで運営することになりそう。
施設内にはコワーキングスペースもできるようです。
子ども関係では、
・三郷西部認定こども園建設事業 本年度分で2億4000万円。(総額では約6億円)
一時は統廃合も騒がれてた小倉にある西部園ですが、園舎建て替えで存続することに。
小倉の3人の議員も頑張りました。
ただし、市は建て替えと民営化を同時に進めようとしており、
これについて地元住民・保護者達は憤っています。
・明科北認定こども園での民間保育事業者くじら雲さんへの委託料で約1800万円
新年度は市と民の共同の引き継ぎ保育です。
安曇野市初のこども園における民間委託。このチャレンジを注目しています。
・市内の小学校6年生が安曇野ゆかりの「先輩」に学ぶ特別授業に228万円
ユニークな生き方をしている先輩たちの話を聴くのはいいですね。
市は観光にも力を入れると言っています。
・燕岳テント場のトイレ整備工事に約7000万円。
高い!と思って議会でも質問しましたが、資材の空輸代、建設作業員の山小屋滞在費用、
また固液分離の環境配慮のシステムを使うので新たに作り直すことになりこれだけの費用に。
この財源、クラウドファンディングでも募集します。
・観光エリアのまちあるきの満足度向上のために約1400万円。
穂高神社内のトイレの洋式化、キャンプ場「かじかの里」のWi-Fi設置費用などです。
特にかじかの里は新年度から民間事業者が運営する予定。
ラーラ松本を運営している事業者で、新たな取り組みが始まり活性化を期待します。
コロナ禍により観光もアウトドアや滞在型が志向されています。
自然豊かな田園都市安曇野はそれを発揮する潜在力を持っています。
マウンテンバイクのコース整備(約1300万円)も計上されており、
アウトドア×体験×滞在型=安曇野観光を発信することで、観光業の立て直しを図っていきます。
私の6月の一般質問テーマです。
・空き家対策のソフト事業として約75万円
市民と市の協働事業で、明科のまちづくりグループが、
明科地域の空き家巡りを企画して、空き家利活用とまちづくりを進めようとしています。
明科エリアでスモールソーシャルビジネスを起こしてみては!
などなど。
以上、予算案の一部です。
この他にもまだまだたくさんあるので、市の事業や予算案に興味を持った方は、
以下に事業ごとの概要をまとめた説明書も出ているので読んでみてください。これは読みやすいですよ。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/43685.pdf
最後にまとめ。
予算案に向き合うのは8年目になります。
コロナの影響もあり厳しさを増す中で、限られた財源をどのように使えばいいのか。
僕も「神の目」を持っているわけではないので、
「これが絶対正しい!」から賛成、または「これは絶対いけない!」から反対と言えるわけではありません。
むしろ、それを言えるとしたら、自分の中に「過信」や「おごり」があるのではとも思います。
そんな中で、議員として可能な限り、勉強し、調べ、聴いて、
こちらの方向だな、という思いで賛成または反対の意見を述べています。
なかなか大変でキツイ仕事ですが、それに真摯に向き合うことが議員の責任です。
議会最終日は17日。ここで予算案含め、各議案の議決を行います。
ちなみにこの日は中学校の卒業式。息子の卒業式に行けないや。トホホ。
被災地の方たちとつながり、少しでも支援ができればと有志で続けてきた「安曇野ひかりプロジェクト」
の保養プログラムも2018年夏で終了。
そこで出会った福島の人たちにも会いに2回ほど福島を尋ね、被災地の方と話もしました。
先日の福島の地震の際も安否確認の連絡をしたら、様子を知らせてくれました。
震災の支援活動で出会った人たち、安曇野で受け入れた人たちとも、
これからもやり取りをしていきたいと思いました。
さて少し発信が遅くなりましたが、今回の定例会の最重要議案である令和3年度予算案について解説します。
市の新年度の取り組みは多岐にわたりますので、その概要をざっくりとですがお伝えできれば。
少し長いですが、読んでみてくださいね。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度に、どのようなことに、どれだけお金を使うのか(歳出)。
それが示されているのが予算案です。
予算書は各事業ごとに歳出金額とその財源が書かれています。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/43672.pdf
この予算書を見て、
「私たちの暮らしはどうよくなっていくのか?」
「子育ては、教育は、福祉は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?」
ということを読み解き、チェックするのが我々議員&議会の仕事です。
この予算案を17日の議会最終日に議決・承認するという過程を経て、
行政はこの予算を4月から執行していきます。
議会が反対多数で否決すれば予算執行できません。
ここまでが前振り。
ここからが本題。
令和3年度予算案の総額は約411億円。
昨年令和元年度より約11億円減っていますが、8年連続の400億円越えの大型予算です。
約411億円使う(支出)ということは、それだけの財源(収入)があるということ。
ではまずはこの411億円はどこから集められてくるの?という、お金の入り(=これを歳入という)について。
●歳入
・市税(市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など)が約107億(26.0%)。
・国からの交付税(国に集められた税金を地方自治体に配分。)が約104億円(25.3%)。
・国や県の支出金(ある事業に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの)が約66億(16.1%)。
・市債(市の借金で将来にわたって返していく)が約39億(9.4%)。
・繰入金(基金=家庭で言えば貯蓄、の取り崩し)が約26億円(6.3%)が主だったところ。
・その他で約68億円(16.9%)
※( )の%は全体額に対する割合です。
自主財源と言われる、国に頼らない市独自のお金は主に市税。これが全体の3割を切ります。
これでは到底やっていけないので、国や県からお金を配分してもらっているわけです。それが約4割。
これとは別に市債を発行しての借金、そして貯金の取り崩しで確保します。約2割弱。
これが安曇野市のお金の入り方です。
歳入はいつも3点注目しています。
まず市が自分で稼ぐ力とも言える市税。
これはコロナ禍の影響を受けて、前年より約11億円減の107億円になっています。
次に市の借金である市債の発行額はどうなっているか。
穂高クリーンセンターや体育館などの大型事業の目途がついて約37%22億円減の約39億円。
市は借金をするともに、歳出で公債費という借金の返金額も予算化しています。
この公債費が約51億円です。
返済額(約51億円)より借金額(約39億円)の方が小さいので、将来負担は減ることになります。
最後に家庭で言えば貯金にあたる基金について。
すべての基金からの繰入額は前年より約35%多い、約7億円増の約26億円です。
基金についてもう少し書くと、いくつもある基金の中で、
自由度高く使える財政調整基金(=財調)があります。
令和2年度に、市はこの財調を切り崩して様々なコロナ対策を講じてきました。
市民の生活を支えるために、この急場に「貯金を下ろす」ことは必要ですが、
でも、「おろし過ぎて大丈夫?蓄え、無くなっちゃうんじゃない?」
という質問を議会で私は何度かやってきました。
結果、今年度は国からのコロナ対応の臨時交付金を活用して、
様々な施策に充て、一旦は積み下ろした財調に戻すことができ、
今年度末の財調残高は約50億円で元年度末とほぼ同額でした。
財政部がキッチリとかじ取りをしてくれたと評価できると思います。
では次にこのお金を何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●歳出
まずコロナ関連の対策費、
・ワクチン接種で約3億2千万円。この財源は全額国からです。
接種については市へのワクチン配分数がまだ示されず、スケジュールが定まらないようです。
・事業者への支援として制度資金貸付事業で25億円。
これは市が市内金融機関を通じて市内企業への貸し付けを行うものですが、
前年度は9億円だったので、市は3倍近い貸付を行おうとしています。
これは事業者にとってはありがたい制度だと思いますが、
貸付なので、当然返済しなければなりません。
これで何とか経営状況を立て直すことができれば。
他には、
・新総合体育館関連 約2億5000万円
令和3年10月の完成に向けて工事は順調に進んでおり、建設費用で約1億800万円(総額38億円)
体育館の備品調達で約1億4000万円です。
体育館の運営はミズノと市の体育協会らがチームを組んで運営することになりそう。
施設内にはコワーキングスペースもできるようです。
子ども関係では、
・三郷西部認定こども園建設事業 本年度分で2億4000万円。(総額では約6億円)
一時は統廃合も騒がれてた小倉にある西部園ですが、園舎建て替えで存続することに。
小倉の3人の議員も頑張りました。
ただし、市は建て替えと民営化を同時に進めようとしており、
これについて地元住民・保護者達は憤っています。
・明科北認定こども園での民間保育事業者くじら雲さんへの委託料で約1800万円
新年度は市と民の共同の引き継ぎ保育です。
安曇野市初のこども園における民間委託。このチャレンジを注目しています。
・市内の小学校6年生が安曇野ゆかりの「先輩」に学ぶ特別授業に228万円
ユニークな生き方をしている先輩たちの話を聴くのはいいですね。
市は観光にも力を入れると言っています。
・燕岳テント場のトイレ整備工事に約7000万円。
高い!と思って議会でも質問しましたが、資材の空輸代、建設作業員の山小屋滞在費用、
また固液分離の環境配慮のシステムを使うので新たに作り直すことになりこれだけの費用に。
この財源、クラウドファンディングでも募集します。
・観光エリアのまちあるきの満足度向上のために約1400万円。
穂高神社内のトイレの洋式化、キャンプ場「かじかの里」のWi-Fi設置費用などです。
特にかじかの里は新年度から民間事業者が運営する予定。
ラーラ松本を運営している事業者で、新たな取り組みが始まり活性化を期待します。
コロナ禍により観光もアウトドアや滞在型が志向されています。
自然豊かな田園都市安曇野はそれを発揮する潜在力を持っています。
マウンテンバイクのコース整備(約1300万円)も計上されており、
アウトドア×体験×滞在型=安曇野観光を発信することで、観光業の立て直しを図っていきます。
私の6月の一般質問テーマです。
・空き家対策のソフト事業として約75万円
市民と市の協働事業で、明科のまちづくりグループが、
明科地域の空き家巡りを企画して、空き家利活用とまちづくりを進めようとしています。
明科エリアでスモールソーシャルビジネスを起こしてみては!
などなど。
以上、予算案の一部です。
この他にもまだまだたくさんあるので、市の事業や予算案に興味を持った方は、
以下に事業ごとの概要をまとめた説明書も出ているので読んでみてください。これは読みやすいですよ。
https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/43685.pdf
最後にまとめ。
予算案に向き合うのは8年目になります。
コロナの影響もあり厳しさを増す中で、限られた財源をどのように使えばいいのか。
僕も「神の目」を持っているわけではないので、
「これが絶対正しい!」から賛成、または「これは絶対いけない!」から反対と言えるわけではありません。
むしろ、それを言えるとしたら、自分の中に「過信」や「おごり」があるのではとも思います。
そんな中で、議員として可能な限り、勉強し、調べ、聴いて、
こちらの方向だな、という思いで賛成または反対の意見を述べています。
なかなか大変でキツイ仕事ですが、それに真摯に向き合うことが議員の責任です。
議会最終日は17日。ここで予算案含め、各議案の議決を行います。
ちなみにこの日は中学校の卒業式。息子の卒業式に行けないや。トホホ。
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