2020年度(令和2年度)当初予算の解説
- 2020/03/10
- 22:49
新型コロナウイルスは一向に収まる様子を見せませんね。
小中学校の卒業式を始め、市の行事は軒並み中止に。
来賓出席が無くなり、予定が空いてしまうことに。
やりたかったことを進められるチャンスです。
さて現在開会中の定例会も、今日私の所属する福祉教育委員会が終わり、
残すは最終日の議決だけになりました。
少し発信が遅くなりましたが、今回の定例会の最重要議案である令和2年度予算案について解説します。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度に、どのようなことに、どれだけお金を使うのか(歳出)。
そのことで私たちの暮らしがどうよくなっていくのか?
子育ては、教育は、福祉は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?
それが示されているのが予算案です。
この予算案を議会が承認するという過程を経て、行政はこの予算を4月から執行していきます。
議会が反対すれば予算執行できません。
令和2年度予算案の総額は約422億円。
昨年令和元年度より約10億円増えていて、7年連続で400億円越えの大型予算です。
約422億円使う(支出)ということは、それだけの財源(収入)があるということ。
ではこの422億円はどこから集められてくるの?という、お金の入りについて。(=歳入と言います)
●歳入
・市税(市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など)が約117億(27.8%)。
・国からの交付税(国に集められた税金を地方自治体に配分。)が約103億円(24.3%)。
・国や県の支出金(ある事業に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの)が約68億(16.1%)。
・市債(市の借金で将来にわたって返していく)が約61億(14.5%)。
・繰入金(基金=家庭で言えば貯蓄、の取り崩し)が約20億円(4.7%)が主だったところ。
・その他で約53億円(12.6%)
※( )の%は全体額に対する割合です。
自主財源と言われる、国に頼らない市独自のお金は主に市税。これが3割を切ります。
これでは到底やっていけないので、国や県からお金を配分してもらっているわけです。それが約4割。
これとは別に市債を発行しての借金、そして貯金の取り崩しで確保します。約2割弱。
これが安曇野市のお金の入り方です。
毎年書いていますが、国からの交付金をもらっていない自治体って全国にあるんですよ。少ないけど。
原発のある六ヶ所村とかトヨタのある豊田市とか。長野県なら軽井沢町。
国に頼らなくても自分たちでやっていけるという自治体です。
※正確に言うと、原発やトヨタに頼ってるんだけどね。
安曇野市は頼らないとやっていけない自治体ってことです。
では次にこのお金を何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●歳出
まずハード事業(施設を作ったり改修する建設事業や土木事業)
・新総合体育館建設関連 約14億円
建設費用38億円の事業です。令和3年10月の完成を目指して本格工事が行われます。
・穂高クリーンセンターの新ごみ焼却施設整備への負担金 約28億1600万円
これも現在建設中。総建設費用は約100億円。
安曇野市と周辺町村とで作る穂高広域施設組合の施設で、
市の一般家庭ごみがここで焼却されます。令和3年3月より利用開始。
・昨年の台風19号で河川氾濫や越水が心配ですが、万水川下流域の内水対策工事で2300万円。
少し身近なところでは、
・穂高にあるキャンプ場「かじかの里」のトイレの整備で3300万円、
燕岳テント場にある市のトイレの整備をすることになり、新年度は設計費用184万円。
いずれも洋式になります。
※ハード事業は1年目に設計、2年目に建設というように2年にまたいで整備されます。
(大きなものだと3年)
・JR有明駅、追分駅の駐輪場に屋根を設置で1470万円。
議会は市民から出ていた駐輪場に屋根を設置する旨の陳情を採択していましたが、
それが今回実現します。
などなどです。
建設事業費は全部で約45億。昨年より3億円減です。
次にソフト事業。(千円未満は切り捨て)
・まず注目は空き家対策事業 1186万円
新年度より空き家対策室ができ、空き家の監理・取り壊しから利活用までを行います。
家の片付け清掃やリノベーション・リフォームなどの補助金ができます。
・さらに明科北認定こども園をやまほいくの特化型にすることなど
事業者を公募するのだけど、その選考委員会の手当てとして4万円。
市の自然保育を推進するために地域おこし協力隊2名を募集、その人件費482万円
1人あたり241万円=月額20万円ほどです。
安曇野市に来て自然保育を推進したい人、大募集です。
・聖火リレー事業 595万円
4月3日に近代美術館からのオリンピック聖火リレーのイベントがありましたが、
コロナウイルスの影響で実施はするものの、イベント規模は縮小に。
予算はどうなるんだろう?
・児童発達支援の事業所運営補助 445万円
療育を行う児童発達支援の事業所の開設に対する補助金です。
・豊科公民館ピアノリレーマラソン 0円
ピアノ愛好家を募集し、リレー形式でピアノ演奏をつないでいくなんてユニークなイベントもあります。
これは0予算と言って、お金をかけずに行います。
・日本語学習支援事業
外国籍などの理由から日本語支援の児童生徒に対して支援員を派遣。
これはこれまで「安曇野コミュニティ-スクール事業(ACS)」の中で位置づけられていました。
ACSは基本ボランティアなので、日本語支援をする方は時間540円でやっていました。
それがACSとは別枠の「学校支援員」事業となり、その報酬も1時間1000円になりました。
日本語支援の位置づけがボランティアとしてされるものではなく、
市の事業として位置づけられたことは一歩前進だと思います。
・小学校の普通教室に電子黒板の導入 6258万円
既に中学校では導入されていましたが、新年度は小学校でも。
財源はふるさと寄附です。
などなど。
以上、予算案に関するものでした。
予算案に向き合うのは7年目になります。
自分が注目している事業、追っかけている事業が
もう一歩踏み込んだ展開をしていたりもして嬉しい半面、
なかなかここは進まないな、というものもあります。
大型事業の体育館建設38億円のしわ寄せが来ているからか、
新規事業も目を引くものが少なく、市も苦しい財政運営をしているなと感じます。
小中学校の卒業式を始め、市の行事は軒並み中止に。
来賓出席が無くなり、予定が空いてしまうことに。
やりたかったことを進められるチャンスです。
さて現在開会中の定例会も、今日私の所属する福祉教育委員会が終わり、
残すは最終日の議決だけになりました。
少し発信が遅くなりましたが、今回の定例会の最重要議案である令和2年度予算案について解説します。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度に、どのようなことに、どれだけお金を使うのか(歳出)。
そのことで私たちの暮らしがどうよくなっていくのか?
子育ては、教育は、福祉は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?
それが示されているのが予算案です。
この予算案を議会が承認するという過程を経て、行政はこの予算を4月から執行していきます。
議会が反対すれば予算執行できません。
令和2年度予算案の総額は約422億円。
昨年令和元年度より約10億円増えていて、7年連続で400億円越えの大型予算です。
約422億円使う(支出)ということは、それだけの財源(収入)があるということ。
ではこの422億円はどこから集められてくるの?という、お金の入りについて。(=歳入と言います)
●歳入
・市税(市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など)が約117億(27.8%)。
・国からの交付税(国に集められた税金を地方自治体に配分。)が約103億円(24.3%)。
・国や県の支出金(ある事業に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの)が約68億(16.1%)。
・市債(市の借金で将来にわたって返していく)が約61億(14.5%)。
・繰入金(基金=家庭で言えば貯蓄、の取り崩し)が約20億円(4.7%)が主だったところ。
・その他で約53億円(12.6%)
※( )の%は全体額に対する割合です。
自主財源と言われる、国に頼らない市独自のお金は主に市税。これが3割を切ります。
これでは到底やっていけないので、国や県からお金を配分してもらっているわけです。それが約4割。
これとは別に市債を発行しての借金、そして貯金の取り崩しで確保します。約2割弱。
これが安曇野市のお金の入り方です。
毎年書いていますが、国からの交付金をもらっていない自治体って全国にあるんですよ。少ないけど。
原発のある六ヶ所村とかトヨタのある豊田市とか。長野県なら軽井沢町。
国に頼らなくても自分たちでやっていけるという自治体です。
※正確に言うと、原発やトヨタに頼ってるんだけどね。
安曇野市は頼らないとやっていけない自治体ってことです。
では次にこのお金を何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●歳出
まずハード事業(施設を作ったり改修する建設事業や土木事業)
・新総合体育館建設関連 約14億円
建設費用38億円の事業です。令和3年10月の完成を目指して本格工事が行われます。
・穂高クリーンセンターの新ごみ焼却施設整備への負担金 約28億1600万円
これも現在建設中。総建設費用は約100億円。
安曇野市と周辺町村とで作る穂高広域施設組合の施設で、
市の一般家庭ごみがここで焼却されます。令和3年3月より利用開始。
・昨年の台風19号で河川氾濫や越水が心配ですが、万水川下流域の内水対策工事で2300万円。
少し身近なところでは、
・穂高にあるキャンプ場「かじかの里」のトイレの整備で3300万円、
燕岳テント場にある市のトイレの整備をすることになり、新年度は設計費用184万円。
いずれも洋式になります。
※ハード事業は1年目に設計、2年目に建設というように2年にまたいで整備されます。
(大きなものだと3年)
・JR有明駅、追分駅の駐輪場に屋根を設置で1470万円。
議会は市民から出ていた駐輪場に屋根を設置する旨の陳情を採択していましたが、
それが今回実現します。
などなどです。
建設事業費は全部で約45億。昨年より3億円減です。
次にソフト事業。(千円未満は切り捨て)
・まず注目は空き家対策事業 1186万円
新年度より空き家対策室ができ、空き家の監理・取り壊しから利活用までを行います。
家の片付け清掃やリノベーション・リフォームなどの補助金ができます。
・さらに明科北認定こども園をやまほいくの特化型にすることなど
事業者を公募するのだけど、その選考委員会の手当てとして4万円。
市の自然保育を推進するために地域おこし協力隊2名を募集、その人件費482万円
1人あたり241万円=月額20万円ほどです。
安曇野市に来て自然保育を推進したい人、大募集です。
・聖火リレー事業 595万円
4月3日に近代美術館からのオリンピック聖火リレーのイベントがありましたが、
コロナウイルスの影響で実施はするものの、イベント規模は縮小に。
予算はどうなるんだろう?
・児童発達支援の事業所運営補助 445万円
療育を行う児童発達支援の事業所の開設に対する補助金です。
・豊科公民館ピアノリレーマラソン 0円
ピアノ愛好家を募集し、リレー形式でピアノ演奏をつないでいくなんてユニークなイベントもあります。
これは0予算と言って、お金をかけずに行います。
・日本語学習支援事業
外国籍などの理由から日本語支援の児童生徒に対して支援員を派遣。
これはこれまで「安曇野コミュニティ-スクール事業(ACS)」の中で位置づけられていました。
ACSは基本ボランティアなので、日本語支援をする方は時間540円でやっていました。
それがACSとは別枠の「学校支援員」事業となり、その報酬も1時間1000円になりました。
日本語支援の位置づけがボランティアとしてされるものではなく、
市の事業として位置づけられたことは一歩前進だと思います。
・小学校の普通教室に電子黒板の導入 6258万円
既に中学校では導入されていましたが、新年度は小学校でも。
財源はふるさと寄附です。
などなど。
以上、予算案に関するものでした。
予算案に向き合うのは7年目になります。
自分が注目している事業、追っかけている事業が
もう一歩踏み込んだ展開をしていたりもして嬉しい半面、
なかなかここは進まないな、というものもあります。
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新規事業も目を引くものが少なく、市も苦しい財政運営をしているなと感じます。
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