★一般質問の議事録粗稿~テーマ「新学習指導要領を安曇野市学校教育でどう実践するのか」~
- 2019/06/25
- 21:00
6月定例会も残すところ最終日の議案採決だけとなりました。
18日に行った私の一般質問の議事録が届きました。
粗稿ですので確定版ではありませんが、暫定的なものとして見てもらえます。
また以下の市議会ホームページにもアーカイブとして動画がアップされています。
http://smart.discussvision.net/smart/tenant/azumino/WebView/list.html
画面左のウインドウの「令和元年6月定例会」→「6月18日本会議(一般質問)」→「増田望三郎」と進んでください。
テーマは「新学習指導要領を安曇野市学校教育はどう実践するのか」です。
教育長とのガチンコ一本勝負でした。
6月定例会一般質問 「新学習指導要領を安曇野市学校教育はどのように実践していくのか」
○10番(増田望三郎)
私は、これまで幾度となく、子供たちが自立した大人へと成長し幸せな人生を生きていくために、どういう環境や場を用意すればいいのかを議会で発言してきました。前回3月定例会では、地域学外における充実した体験機会をつくろう、そういうことを提案し、また、過去には、多様な教育機会を認めていくことを訴え、フリースクールへの理解と支援を提案しました。今回は、多くの子供たちが通い、その大半の時間を過ごす学校いわば本丸である学校教育に焦点を当てます。
文部科学省の定める新学習指導要領、以後、新要領と言いますが、2020年度から小学校、2021年度からは中学校で全面実施されると。今回の改訂の最も特徴的な点、これ読み込んできました。「主体的・対話的で深い学び」そういう学びのあり方について定めたことです。これを市の学校教育においてどう実現していくのか、この点を教育長としっかり議論させていただきます。
では、まず、この「主体的・対話的で深い学び」これはどういうことか。教育長はこの文言をどう捉え、そして、文科省がこのような文言をあえて打ち出すことになった社会背景をどう認識されているか。これは、今回の議論の大前提になる部分なので、しっかりと御答弁をお願いします。
○教育長(橋渡勝也) 増田議員にお答えいたします。
最初に、学習指導要領について簡単に説明させていただきます。
学習指導要領は、学校教育法第33条の規定を受けて学校教育法施行規則第52条ほかで定められた、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう文部科学省が定めている教育課程の基準でございます。教科書から時間割に至るまで、これをもとにつくられることになります。およそ10年に1度改訂が行われており、今がその改訂の時で、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から新しい学習指導要領による学習がスタートいたします。
さて、安曇野市が平成30年3月に策定した第2次安曇野市総合計画の序論で述べているとおり、複雑化・多様化が進み不確実性が増す社会の中でも、変化に柔軟に対応し、国際的な視野のもとで、地域や社会において幅広く活躍できる人材を育成することが必要である。このことから、本市の小・中学校の児童・生徒には、社会の変化に柔軟に対応し、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え判断して、行動していく力を育んでいく必要があると考えております。
新学習指導要領が掲げている「主体的・対話的で深い学び」は、ただいま述べましたような、これからの時代を生き抜くために必要な力を育むための学びのあり方を示しているものと捉えております。
そこで、本年度の市教育委員会学校教育グランドデザインでは、たくましい安曇野の子供に迫るための重点として、「主体的に学び合う児童・生徒」を掲げました。このことは、新学習指導要領の趣旨を踏まえたものでもございます。これまでの教師の一斉的な授業スタイルから学習者ファーストの授業づくりへの転換も強く打ち出しているところでございます。
以上です。
○10番(増田望三郎) 議論の前提になるその社会認識ということで、ちょっと資料を用意しました。ごらんください。
グローバル化やスマートフォンの普及、ビッグデータやAIの活用などによる技術革新で、10年前には考えられなかった激しい変化が起きており、先の見通せない時代になっていると。そんな中で、今ある仕事の49%が2030年までにAIに取ってかわられると、こういう有名な研究発表があります。
では、我々人間は一体何をやるのか。人間としてのあり方を根本から問い直す大きな社会課題が今我々に迫っていると。これまでと同じような指導・教育では、それに立ち向かえない。文科省のそんな危機感さえこの文言から私は感じています。
それで、一方的に教わる授業から子供たちが主体的に考えて学んでいく授業、これに異を唱える方はいないと思うんですね。しかし、肝心なのは、学校が実際にそのような学びの場になっているのか。この新要領の趣旨を教育の最前線である学校側がこれを十分に理解し、本質的な学びの改革を実現していけるのか。この部分、要は、絵に描いた餅にならないようにということなんですけれども、これについて、もう少し具体的な取り組みをお聞きします。今年度は全面改訂に向けての移行期間ということで、既に学校で行われている取り組みをお願いします。
○教育長(橋渡勝也) 今回の新学習指導要領で新しく加わる教育内容というのは、いろいろございまして、外国語活動であるとかプログラミング教育、特別な教科道徳等々のことがあるわけですけれども、それらも、既に対応を進めておりますけれども、市内では、数年前から、小学校1校、中学校2校で、児童・生徒が互いに学び合う学習のあり方を模索する、そういうことに努めております。そして、外部から専門の講師を招いて、校内研修や成果を授業を通して公開する取り組みを行ってきております。この実践は、今申し上げました当該の学校だけではなくて、市内の小・中学校からの積極的な視察あるいは授業参観、こういった参加がありまして、自分の授業に生かそうとする教師の姿が多く見られ、全市的に広がりつつあるということは、私ども17校学校訪問していて感じるところでございます。
しかしながら、課題として、そのための教材研究であるとか授業づくりの準備の時間の確保、あるいは研修の場の確保、こういったことはさらに必要になってくると考えております。これについては、教育委員会としては、昨年度、安曇野市小・中学校教職員の業務改善方針を策定いたしまして、いわゆる働き方改革に、学校とともに取り組んでおります。また、職員研修における外部講師招聘については予算的に補助をする、そんなこともしておりまして、自校の課題に応じた校内での研修が充実できるように支援をしているところでございます。このことについても、その学校だけが研修をするというのではなくて、広く市内の学校にも、こういう研修がこの次ありますという案内を出しまして、他校からの研修参加も自由にできるように促しております。こういった地道な取り組みによって、教職員の資質及び指導力の向上を図ってまいりたいと取り組んでいるところでございます。
○10番(増田望三郎) 既に取り組んでいただいているということなんですけれども、私も先日、市内の該当中学校の授業を見学させていただきました。4人1組のグループ学習で、どの授業もそんな形でやっていましたけれども、お互いに聞いたり、話し合ったり、対話をする学び合いの姿というのがありました。
一方で、「主体的・対話的で深い学び」と言った時に、単に4人で並んでやっていればそれができるということではないと思うんですね。いかに深い学びにつなげていくかということでは、学校でさらにその部分をしっかり考えていただく必要があると思うんですけれども、もし、それを妨げるといいますか、そういったことがやりにくい、壁があるとするならば、それは何でしょうか。
お願いします。
○教育長(橋渡勝也) 壁と言われていることがどういうことを指すのかというのがちょっと捉えにくい部分もあるわけですけれども、先ほど課題として申し上げた、やはり1つの授業をつくり上げるというのは、学習形態がグループ学習にすればいいということではなくて、そこでどういう課題をどういうふうに深めていくかという、教師の指導観であるとか、深い教材研究であるとか、そこにどういう教材を持ってくるとか、そういうものがなければ、形だけに終わるということになりがちだと思うんです。で、そこで、先ほど申し上げましたように、授業をつくる前、命の部分は、私は教材研究であるなというふうに思っているもんですから、その時間の確保ですね、それはしっかりできるようにしてやりたいなというふうに考えております。
働き方改革という名のもとに、時間外勤務を縮減するということはもちろん考えていかなければいけないことなんですけれども、それによって、本来やるべき教材研究の時間がないということでは本末転倒になる。そこのところをいかに確保し充実させるかというのが、学校とともに考えていかなければいけない課題だと思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) すみません、ちょっと壁という例え的な言い方でわかりにくかったと思うんですけれども、私が捉える壁というのは、1つは先生の指導観、教育観、こういったものをやっぱり見直していただかないといけないかなと思っております。これについては、また後で述べます。
もう一つの壁は、先生方の、教育長のおっしゃった、負担をいかに軽減するかということに鍵があると思います。今回、このテーマを質問するに当たり、現場に立つ校長先生や何人かの先生方と話す機会をいただきました。皆さん同じく言われるのが、新要領が先生の負担を新たにふやすことにつながるんじゃないかと、そういう危惧でした。ある先生は、趣旨としては理解できるが、賛同できても、授業改善に注ぐ時間がとれない。そこで、例えば、部活動を外部指導員にお願いできれば、負担軽減がされ、授業改善の時間も気持ちもあけられる充てられると、そういうことを言っておられました。
新要領の実践に先生方が注力できるように、そのために働き方改革は絶対条件だと思っています。
では、少し視点を変えて質問します。
2つの数値について注目しました。この数値は、「主体的・対話的で深い学び」という観点で捉えると、どのような課題が見えてくるか、その分析をお願いします。
まず、1つ目は、不登校の児童数について。この点お願いします。
○教育長(橋渡勝也) 不登校の状況につきましては、年間30日以上の欠席者数で統計をとっておりますけれども、安曇野市の場合、在籍比で、平成29年度1.41%、全国平均の1.47%、県平均の1.53%と比較すると、やや低いものの同程度と捉えられる状況かと思っております。
その要因別の集計を見ますと、学校にかかわる状況の中では、小・中学校ともに、学業の不振というのが最も多く、次いで、いじめを除く友人関係をめぐる問題となっております。このことは、学校における友達とのかかわりを豊かなものにふやしていくとか、あるいは授業の質的向上を図ることが、学校生活をより楽しく充実したものにして、ひいては不登校になる子供たちの減少につながるのではないかと、こういうふうにも読み取っているところでございます。
以上です。
○10番(増田望三郎) 本市でも、不登校対策として、不登校支援コーディネーターの配置や中間教室、教育支援センターの設置などの取り組みを行っていただいているんですけれども、一方で、それらはやっぱり不登校ありきの対策であり、一人一人の子供に対応した教育環境になり切れていないということの証左でもあると思うんですね。今教育長おっしゃたように、新要領「主体的・対話的な深い学び」これが、そのことで子供たちが主人公になっていく、わくわく学んでいける、そういうことにつながっていくんじゃないかなというふうに思っています。
2つ目の数値です。全国学力学習状況調査について、この点についてはいかがでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 全国学力学習状況調査の中で、今回の「主体的・対話的で深い学び」に着目して分析をしてみますと、質問枝の中に、「主体的・対話的で深い学び」にかかわる設問がございます。「学級の友達との間で話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができていると思いますか」というものでございます。これについて、当てはまると答えた中学生の割合は、平成30年度は、前の年度より10%以上の上昇がございます。小学校でも、年々向上が見られます。しかしながら、この数値自体はまだ30%というもので、高いとは言えません。先ほど議員も御指摘のように、教師の意識改革とともに、学ぶ側の児童・生徒が真に主体的に学ぼうとする自覚であるとか意欲であるとか、そういったものもあわせて高めていかなければいけないと考えております。
この数値については、今後も注目しながら、「主体的・対話的で深い学び」の実践に支援をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○10番(増田望三郎) それでは、先生の指導観という話を先ほどもしたんですけれども、ちょっとここで、壁の話、子供たちの主体的な学びに立ちはだかる壁と言っていいか、ここでは、先生の指導観や、我々大人の、親たちの教育や子育て観について、目的と手段を取り違えないという観点で述べてみます。
学校の卒業式の実例を紹介します。私も議員として毎年、地元小・中学校の卒業式に出席しています。毎回思うのは、よくもまあこんなに規律がとれているなということなんです。一糸乱れぬ壇上者への挨拶、合図もないのにピタッとそろった起立と着席、式を終え控室に戻ると、さすがだと来賓の方々の賞賛の声が聞こえてきます。
実は、私はこれをずっと疑問に思っていました。子供たちはどんな思いで座っているんだろうと。卒業の主体者は誰か。言うまでもなく子供たち自身ですね。その子供たちが、卒業の意味を考えることよりも、統率のとれた動きを意識することに気持ちを向けなければならない。まさに目的と手段を取り違えています。何のための卒業式なのか。誰のための卒業式なのか。これは、昨年のある小学校の卒業児童が涙ぐみながら私に言った言葉です。卒業式でも運動会でも音楽会でも、子供たちが主体的に取り組み学びを得ることより、きちんと整然とやること、それを見せることのほうが重要視されていないか。または、それが過度になり、子供たちの心に覆いかぶさっていないか。学校が、また我々親が大事にやり続けてきたことの中に、こういった目的と手段の取り違いがないかと考えるわけです。
それは、先生たちがどんな物差しで事を進めているのか。我々親や大人たちが子供たちの何を見てよしとしているのか。子供たちの学びのあり方を改革していこうという時に、先生をも親も地域の大人も自身の教育観を振り返られるか、そのことが問われているんだと思います。それを私は壁と、自分自身の壁、見方の壁を子供たちのためにぶち破らなければならないなと思っています。
先ほどの卒業式での例と、先生方がどのようにしてこの要領を自身のものにしていくのか、そのために市教委としては何ができるのか、もう一度教育長にお願いします。
○教育長(橋渡勝也) 市教育委員会では3年前から教育委員と事務局職員が市内17校の小・中学校全ての教室を訪問し、教育の現場をつぶさに見てまいりました。
平成30年度は6月から11月まで実施をし、毎回、学校長と市教委との懇談の中で、参観者全員から感想・意見を学校側に伝え、校長が主体性を持って学校運営を推進できるよう支援をし、その後、全教職員との懇談も行ってまいりました。そして、全ての訪問を終えた11月末に、教育委員会定例会で総括をし、訪問を終えて、「17校への願いと期待」と題するメッセージを各学校に派出をいたしました。
この中で、おおむねどの学校でも成果として感じることとして、1、整った学びの環境、2、わかった、できたの声があふれる教室、3、ICT機器の積極的な活用、4、地域と連携した教育活動の充実などを挙げ、このことについては一層伸ばしてほしいとお願いをいたしました。
さらに、今後期待することとして、1、伝統を継承するとともに、改革の一歩を歩み出してほしい、2、先生こそ元気で笑顔を絶やさないでほしい、3、児童・生徒が主役の授業づくりを、4、より安全・安心な学校に、5、地域に積極的に出ていく学校のこの5項目を示し、意識の改革と行動を促しております。
教育委員会としましては、教職員が自身と誇りを持ってその専門性を発揮し、子供一人一人の個性やよさを引き出し、楽しい学校、活力に満ちた学校を地域・保護者とともに創造してほしいと願っております。その教育が行われている現場は、まさに学校なわけです。
先ほどから申し上げていますように、学校は変わろうとしています。そして、教職員、児童・生徒もそれに向かって取り組んでおります。ぜひ、その現場を見ていただくことが大人の意識改革、見方を転換することにつながると思います。
先ほど、増田議員から卒業式の場面のお話がございましたけれども、一つ一つの活動は全てねらいを持って行っている意図的な教育活動の一環であります。もちろん、そういう卒業式という場でどういう所作をしたらいいかということもその中に含まれるでしょうし、一番は、心から卒業を祝おうじゃないか、あるいは、卒業生は心から学びやに感謝をし巣立っていこうではないか、こういうことがしっかりとしたねらいとしてあるはずでございます。
議員が先ほどおっしゃったように、そのことに違和感を覚えたというお話でございますけれども、ぜひそのことを伝えて、そして私どもも学校もそれを共有して、そして子供たち、保護者、地域の皆さんの声も聞きながら、本当に求めるものは何かということを失わないように、やっぱり共に考えていくのが教育であろうと思います。
改めて、学校はいつでも開いておりますので、ぜひおいでいただいて率直な御意見を賜りたいと、こんなふうに思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 先生方の指導観や教育観、大人のその教育観を振り返っていこうということを伝えたわけですけれども、一方で、そういった個人の見方・考え方ということだけではなくて、学校自体の当たり前を見直す必要があると思っています。
そこで、3つの具体的な提案をいたします。
まず、ちょっとシンプルな質問なんですけれども、学校はなぜ宿題を出すんでしょうか、なぜ定期テストをするんでしょうか、これ、お願いします。
○教育長(橋渡勝也) 宿題にしても定期テストにしても、その意義が、出す側、受ける側に明確でないとこれは意味がないことではないかとか、あるいは過度の競争をあおるということになりかねません。私は、宿題は学校で学んだことの確認や定着、予習、家での学習の習慣等のために行う家庭学習の1つであると。定期テストは、学んだことの生徒自身の達成度を知ることと、教師の指導のあり方を確認し見直すために行うものと考えております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 目的はそういうことだと思うんですよね。まさにそれ100点満点の目的だと思うんですけれども、実際に、じゃ、それがそうなっているかということがここの議論なんですね。
例えば、宿題は出すのが当たり前、子供たちは出された宿題をやらされると捉えてしまう、私は、ここから抜け出さないとだめだと思っています。宿題の出し方や中身を変えていくべきだと考えます。
全国学力調査で常にトップの秋田県では、子供たちがみずから課題を考えて勉強する家庭学習ノートの実践があります。安曇野市でも、自習学習ノートをつくり、週末には自分が考えた課題を勉強すると、こういったこともやっていただいているわけですけれども、子供たちが自分たちで課題を見つける、または、自分で課題を見つけられるように先生は子供たちに向き合っていく、みずから学ぶことのおもしろさを子供たち自身が感じられるように、一律の宿題や、書くだけ、埋めるだけの宿題というのをやめてみたらどうかと、そういう提案です。
次に、定期テスト。
これも、当たり前のようにありますが、通知表や内申書を書くためには必要なのかもしれませんが、子供たちの評価を学期に2度のテストで計るのではなくて、例えば、定期テストのかわりにそれぞれの実力を計る単元テスト、そういったことも組み込んでいけばどうかなと思います。
こういった宿題と定期テストの見直し、先ほども教育長に目的については言っていただいたわけですけれども、現状を見ていく必要、見直す必要はないでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 保護者の1人でもある増田議員がそのように感じておられるということですので、私どもの実践していることがなかなか浸透していないのかなという思いもいたしますけれども、少し取り組みを紹介させていただきたいと思います。
私の現役時代によく出した白文帳というものがございました。生徒は一生懸命ページを埋めることに専念するわけです。ですから、熟語であってもばらばらにして、とにかく上から下まで同じ字をできるだけ早く埋めようと。教師のほうも忙しい中でそれを点検するということあって、何ページ出したとか、何日出したとか、何冊たまったとか、そんなことで、本当は漢字の習得をさせるためのものでありながら、ページ数でそれを評価するような、そんなことも行ってきたことは事実でございます。
しかし、こういう方法が本当に学力向上につながる最善の方法であるのかということが数年前から議論になりまして、まさにこの新しい学習指導要領がスタートするあたりなんですけれども、安曇野市では、家庭学習のすすめというリーフレットを市教委と校長会、教育会、PTA連合会が合同で作成して配布をしております。これは今でも配布して生きているものでございますけれども、少し紹介させていただきますと、この「家庭学習ガイド」は、保護者の皆様の家庭学習についての疑問にお答えする形で、お子様の成長に合わせた家庭学習のポイントや支援の具体例を載せてあります。学校と家庭が協力し合い、主体的に学ぶ『たくましい安曇野の子ども』を育みましょうと、これが冒頭に書かれている言葉であります。
この中には、小学校・中学校別に学習時間の目安はどのくらいでしょうかと、家庭の質問に答えるような形でおおよその目安も示してあったり、家庭でどのようなことに気をつけて支援すればよいでしょうかというようなところでは、小学校1、2年だと、学習する場をテレビを消し、机の上を整頓し集中して学習する環境をつくりましょうとか、決めたお手伝いを家族と一緒にやりましょうとか、あるいは親子も一緒に読書をしましょうというようなことが具体的に書かれております。
3、4年生になりますと、テレビやゲームの時間を相談して決めましょう、5、6年生になりますと、友達関係で不安を感じたりすることを家庭でも話題にしてみましょうと。あるいは、新聞やテレビのニュースなどについて家族で話し合う機会も持ちましょう、インターネットの約束事を決めましょうとか、そんなことも含めて、家庭での学習のあり方をガイドしている、こういうすすめをつくって配布をしております。
このような中で、いわゆる宿題というものも入ってきているわけですけれども、やり方次第では、学校と家庭が連携によって主体的に自分で考えて、そして学ぼうとする育成を実践できるのではないかなというふうに考えて取り組んでいるわけなんです。
しかしながら、実感しているところではなかなかまだその改革が進んでいないというところですので、これも、理想を掲げるだけではなくて、一緒に実のあるものにしていく努力はこれからしていかなければいけないと思っております。
いずれにしても、宿題、家庭学習のあり方、テストの内容、これは常に見直して、よりよいものにしていく努力は必要であろういうふうに考えております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 例えば、一律でやってきたものを見直すというようなことをすれば、先生は子供たち一人一人によりきめ細かく向き合うということが求められるわけです。さらに、その新要領の「主体的・対話的で深い学び」となる授業改善、これも求められると。先生の専門性が高まり、さらに負担が増していく、先ほどの先生の言葉もありましたが、そこで3つ目の提案として、固定担任制の見直しを提案します。かわりに、学年の先生方がチームになって複数で各クラスを見ていくというものです。
これまでも学年ごとにやってきたとおっしゃられるかもしれませんが、担任が固定していると外部からは口が出しにくい、各学級が閉ざされた空間にもなりやすいので、仕組みとして固定性制をやめると。子供にとっては、クラス担任個人の力量によって指導の差異が生じることを防げます。
私も、子育て中の親で、親同士の会話の中で、先生の当たり外れが話題になることがあります。それは、聞く子供たちには本当にそれは百害だと思うんですよね。絶対に親はそんなこと言っちゃいけないと思うんだけれども、そういったことも、複数担任、固定性制を見直せばなくなると思います。複数の先生の目が子供たちに行き届くことでいじめや不登校にもいち早く気づけるんじゃないかと。先生にとって、これも大きいですね。1人で何とかしなければならないというプレッシャーから解放され、負担軽減にもつながると。既に、長野市に固定性制を見直した実践校があります。この点、我が市教委、安曇野市はどうでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 最初に、学級担任ということについてどういうふうに定められているかということをお話させていただくと、いわゆる国の定数法によって配置数が定められております。一方、指導要録であるとか調査書などの公的文書には責任の所在を明らかにするために学級担任名を明記する必要もあります。最終的に誰が学級担任であったかということは明確にしておくべきであると考えております。
その上で、この多様で複雑な社会環境も反映して、保護者の考え方であるとか期待、そういったものも非常に多様化してきて、子供たちもさまざまな特性を持った子たちが大勢いるわけです。それぞれのその個性や能力を伸ばす責務を負っている教師も、より幅の広い知識と技能、専門性、指導力、こういうものは今まで以上に必要になってきておりますし、それにも増して、豊かな人間性だとか温かい心だとか、そういったものを持つことが求められています。
しかしながら、そういったものを全ての教師が1人で全てを兼ね備えているということは到底難しい話でもございますので、多様な個性、能力、特技、それは子供と同じなんですが、そういうものを持った教師が、複数で、しかも柔軟に対応するということは、これはもう今や当然であろうと思っております。
では、安曇野市ではどうかということでありますけれども、実は、穂高西中学校が開校したときに、毎年学級編成がえを行うと、それから、それにあわせて担任も固定化しないように全て変えようと、こういう取り組みをスタートいたしました。そしてあわせて、1クラスに複数の副担任を置くと。そしてその副担任は複数の学級を受け持つと、こんなことを導入いたしました。それは、目的は何かというと、もっと生徒と生徒が交じり合ったり、あるいは、生徒もさまざまな教師と交流することが必要ではないかという、まさに固定的な担任制を変えていこうという動きだったわけです。それは、全く同じように全ての中学にということではなくて、市内の中学校でも3年間のうち1回は学級編成がえを行って、学級担任も3年間固定しないようにしようというような取り組みに今発展をしているところであります。
このように、安曇野市ではそれぞれの学校で常に検討を重ねてきている問題で、大事なことは、目的をはっきりと定めて、それを共有しながら、そこへのアプローチの仕方はさまざまあっていいと。ですので、議員が期待されているように、安曇野市は全て固定担任制をやめるぞと宣言して一律・一斉に同じようにするのではなくて、これまで培ってきたこういった学校の歩みを大切にしながら、実態に合わせてその時々の教職員が英知を結集して考えていくと、そして変えるべきは勇気を持って変えていくと。しかしそのときには、児童・生徒、保護者、地域への丁寧な説明ももちろん必要になってくると思います。市教委もそういった学校の悩みを共有しながらよりよい方法を一緒に考えていくと、こういう方向で歩んでいきたいと思っているところであります。
以上です。
○10番(増田望三郎) それでは最後の質問に入ります。
最後に、「たくましい安曇野の子ども」に向けてということで質問を求めます。
新要領では、新たに道徳を教科として始めるということを定めています。
この道徳を、先生方もどんな指導をし、どう評価するのかということを思案されていると思うんですけれども、ぜひやっていただきたい取り組みがあります。
「哲学対話」という取り組みです。
哲学というと難しい学問と思われがちですが、わかりやすく言えば、みずから問いを立てる、みずから問いを見つけるということです。
これは、大人でも難しいことかもしれません。この視点がなければ、のんべんだらりと時間は流れ、人生は過ぎ去ってしまう。議員だって任期が終わってしまう。学校は、子供たちに課題を一方的に与える場ではなく、みずから課題を見つけられる人、それに向き合える人を育てる場であってほしいと私は願います。そのための哲学対話です。
幸せって何、大人になるとは、そんな身近なテーマから出発して、グループで一緒に問い、考え、話し合っていく。これ、簡単に結論が出ないんですね。簡単に結論を出して納得させずに、考えようとする姿勢が育ち、対話を通じてお互いのことを知ったり、自分自身の新たな気づきを得たり、まさにこれぞ主体的・対話的で深い学びを具現した取り組みだと思います。
先ごろ、県内の中学校・高校で既にこの取り組みを実践している長野県立大学の馬場智一先生にお話を伺ってきました。
大学の先生として、初年次教育、つまり1年生の教育と哲学対話を行うと、新入生1年生の思考が小さくまとまってしまっていると、そう感じるそうです。小・中学校や高校時代に思考を深める機会の必要性をおっしゃっていました。
この哲学対話を道徳の時間に行う、まずは、ぜひ実践校への視察を教育長にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 今回の学習指導要領の改定によりまして、特別の教科、道徳が新設されて、既に実践が始まっております。
今回のこの特別の教科 道徳では、自分事として捉え、考え、議論することを通じて道徳性を育む、このことが強調されております。
さらに、この道徳では扱うべき22の内容項目があります。基本的には、学級担任である教師が目の前の児童・生徒の実態や心情に合わせて適した道徳教材を用いて工夫した指導法によってこの考え、議論する道徳をつくり上げていくということが大切だと考えております。
議員御提案のこの哲学対話、これは、道徳の授業をさまざま工夫する中で、役割演技であるとか、さまざまな方法が今工夫されているんですけれども、そういった1つの指導方法に位置づけられるというふうに考えます。
全ての道徳がこの哲学対話の方式で行うというのではなくて、今後、授業する教師が建前ではなくて本音で語り、思考をもっともっと深めさせたいということでこの方法を取り入れたいと、そして子供たちと道徳の授業をもっと深めたものにつくり上げていきたいというふうに考えれば、そういったものが取り入れられていくこともあるのではないかと思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 視察に行っていただけませんかね。
○教育長(橋渡勝也) 現在、教科書会社の中でも1社で取り上げていることでございますので、私も研究はしてみたいと思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 今回の質問で、新要領が学校教育の学びのあり方をもう一度見直して、子供たちが学ぶことがわくわくする、そんな学校にしようということを宣言しているんじゃないかなと私は捉えています。
これを、お上からの御託宣にしてはいけないんですけれども、子供に寄り添う教育者として、これは本来やりたかった教育なんじゃないかなと思うんです。
このテーマで、実は中学生の子供たちとも話し合う機会を設けたんですけれども、子供たちも本当にこの方向性をすごく待ち望んでいるなと感じました。この新要領を追い風にして、子供たちのために学校現場からのチャレンジ、教育委員会としてのチャレンジを期待します。それには教育長の熱意と理念的なリーダーシップが必要だと思います。今回、マンツーマンで議論をさせていただきました。最後にもう一度、教育長のお考えをお聞かせください。
○教育長(橋渡勝也) 本日の答弁では、たくましい安曇野の子供の育成に向けた学校教育の取り組みについてお答えをしてまいりましたけれども、このたくましい安曇野の子供は、就学前から中学校卒業後も含めて、あらゆる成長の段階でさまざまな場面を捉えて、学校を含めて市民総ぐるみで取り組むべきと考えております。
例えば、生涯学習課では地域を担い活躍できる子供を育てることを目標に掲げておりますけれども、この背景には、地域の伝統行事である三九郎などが大人の行事であると、大人の行事になってしまっていはしないかと、こういう問題提起がございました。
そこで、青少年のリーダーを育成して、そのリーダーを中心にやぐらの組み立てなどが主体的にできるようにしたいということで取り組んでまいりました。本年度の安曇野市子ども会育成会連合会の総会で、ある地区で子供たちが中心になって三九郎の組み立てを行ったという実際の事例が発表されました。やはり、大人の意識改革と子供たちの可能性を引き出すための活動の広がりが、ここで私は大いに期待されるなと思ったところであります。
また、3月定例会で増田議員に答弁させていただいた夏休みの過ごし方にかかわって、市内企業の方々の理解と協力が得られて、小学校高学年を対象に初めてとなる企業見学会が実現しそうでございます。
このように、本市では子供たちが自然・芸術・文化・スポーツ・産業等の本物に触れる機会、こういったさまざまな仕掛けを考えておりまして、学ぶ環境を多様に用意してまいりました。この安曇野の特色を生かした豊かな体験的な学びを市民総ぐるみで支援していくことを通して、ふるさと安曇野に誇りと愛着を持ち、未来の安曇野市を担う意欲と、そしてその力を備えたたくましい子供を育みたいと、こんなふうに改めて決意をしているところでございます。
以上です。
○10番(増田望三郎) ありがとうございました。
それでは市長、お待たせしました。
学校教育は、今大きな転換期を迎えております。最後にここで、今までの我々の議論をお聞きになって、学校現場での主体的・対話的で深い学び、その実現に向けての市長としてのメッセージをお願いします。
○市長(宮澤宗弘) 市長としてのメッセージということでございますが、私、教育問題、今議論を聞いていて、結論がなかなか出るものではないなという思いをいたしました。もちろん今までも言われているように、教育は百年の計と言われておりまして、いろいろな考え方や意見があろうかというように思いますので、到達点はないんじゃないかなという思いがいたしております。ただ、私見ということになろうかと思いますが、若干、私見を述べさせていただきながらお答えをさせていただきたいと思います。
まず、増田議員から出されたこのITの普及による仕事はどうなるかというパンフレットでございますが、これは、私どももかつて予測しなかった時代背景がございますし、本当にこの今の仕事が約半分なくなってしまうのかなという思いをして、大変ある面では子供たちが果たしてどういった教育を受けることがいいのか、私自身も勉強が大嫌いでテストはないほうがいいなと思ったこともありますが、その中で、安曇野の子供たちのみならず、日本の子供たち、これから成人をした先、10年後、20年後は自分でこの問題を見つけて自分で考えて行動していく力というのが今よりも求められていくのではないかなというように思っております。
これは、世界を見ても、ITの時代、情報化の時代、何を信用していいかわからないような時代背景が一方にはあるというように捉えております。いずれにしても、この人生の基礎をつくるというのが教育であるというように捉えておりますし、また、義務教育の責任は、その一端は教育委員会が担うわけでございますが、これは教育委員会が主体となって小・中学校、やるべきことをしっかりやってもらうことはもちろんですが、捉える側も、全てが教育委員会の責任だ、学校の責任だ、行政の責任だということではなくして、やはり家庭教育というものが最も重要ではないかなと、そして家庭と学校と地域が連携をして子供を育てていくという考え方をもう少し浸透させる必要があるというように私は捉えています。ただ一方で、昔と違って人と人との絆がどんどん崩れてくる、そして特に大きな壁として私は考えるのが、プライバシーの問題であるとか個人情報の問題が余りにも表に出てしまって、例えば、いろいろ気がついたことでも、子供には物も言えない、あるいは、仮に隣のおじさんが隣の子供をどなったとすれば、親がすぐに介入してくるというような問題も発生をする、そうすると、物事にかかわりたくないなと、見て見ぬふりをするような背景が一方ではあるのではないかなと感じております。
いずれにしても、これは地域全体がこの子供たちをどう育てるかということにもっともっと関心を持ってもらって一緒に考え、行動するということが必要ではないかなという思いはあります。
加えて、私、先ほど申し上げました、私見でございますけれども、教育の中、あるいは日常活動の中で今子供のけんかというのがなくなってしまいましたし、私どものときのように問題提起をしてそれを徹底的に議論するというようなことがなくなってしまっているのではないかなと。そして一方では、この農業が衰退する中で、体力的に果たしてどうかなという思いもございます。この自然豊かな安曇野の中で、かつては女子の小・中学生の皆さん方が長野県の平均より体力が落ちているというようなお話もお聞きをしたことがございますが、この豊かな自然の中でなぜ安曇野の子供が体力が落ちるのかなとちょっと不思議に思ったこともございます。
いずれにしても、今、私としては、仲間を大切にする教育、そして人権を尊重しながらまず命を大切にする、そしてお互いが認め合う平和を大切にする、そして人と人とのつながりを深めるということが非常に大切だというように考えております。
今、各学校のお話をお聞きしますと、市内の小・中学校の重点目標、9校が挨拶を具体的な目標に位置づけているというようにお聞きをいたしました。元気な挨拶は人間関係の円滑化にもつながると思いますし、やはり礼儀正しいということは人間が生きていく上でのある面では基本ではないかなという思いもしております。
きょうの信毎にちょっと中学生の意見が出ておりましたけれども、自由とはどんなことかと、自由とは何ぞやというような意見が投稿をされておりました。
まさに、自由というのは何でもかんでも自分勝手にやればいいということでは、私はない、そして、卒業式の話も出ましたけれども、やはり、人として1つの儀式、人間としての1つの卒業式というのは私は区切りだというように捉えます。そうしてみると、やはり、それだけの規律というか礼儀というか、そういうところできちっと学ぶべきところは学んで身につけるということが大切ではないかと私は考えております。
学校の先生方も挨拶を大切にするということでございますけれども、これは、議員が問題提起されておりました主体的・対話的な学び、これに通ずるものではないかなという思いはいたしております。ただ、人とかかわる力そのものがまず必要だということでございますが、そのための基本が挨拶ではないかなという思いはしております。
ただ、もう一つ私としては、当たり前を見直すという提案がありましたけれども、当たり前に言っていること、挨拶のよさというようなものを見直すというようなことではなくして、もっといいものはどんどん広めていくということも大切だというように思っています。
もう一つは、農業が衰退をする中で、お互いに支え合う・助け合うという意識も確かに薄らいできたことも事実であります。ただ、私は、現場の中で農業をもう少し大切にする、これは物を育てるということにつながっていくと思います。そして、物を育てるということは、手をかければかけただけ相手もそれに応えてくれるということでありますから、命を大切にする、仲間を大切にするということにつながっていくのではないかという思いがございます。したがって、この土のにおいであるとか汗のにおいを大切にする、そういうものを感じ取れるような人材育成に力を入れてほしいなと。もちろん、地域の皆さんと一緒になって物をつくっている、あるいは農作業をやっている皆さんもおいででございますが、実は、本年入省した職員28人、この間研修会をやらせてもらいました。そのときに、農業経験者は手を挙げてほしいというお話をさせてもらいましたけれども、1人だけ体験をしたことがあるというようなことで、ちょっとびっくりした、こんな状況もございます。そんな中で、やはりもう少し農作業、これを通じて協働の精神を養うとか、仲間を思いやる心が成長していくのではないかなと。みずから体験をしたことというのは、やはり大きくなっても、学んだことよりも体験をしたこと、これも体験も学びでありますけれども、比較的忘れない、みずから体験をもっともっとすることによってたくましい子供が成長し得るのではないかなと。ペーパーテストだけで生きる力は養えないと私は考えております。
いずれにしても、この教育問題、非常に難しい課題ではございますが、たくましい子供を育てる一助になるものではないかというように考えておりますし、また、先ほど教育長が話をしました。各企業、非常にすばらしい企業がたくさんございます。これも、新しく入った職員の皆さんにお聞きをしても、市内のすばらしい企業がたくさんあるけれども、なかなか企業名が挙がってこないというような現実もございます。一方で企業は門戸を開いて、それぞれの企業のよさを子供たちに伝えようという取り組みもしておりますので、企業体験をする中から現実の社会を学ぶというようなことも大切だというように思っておりまして、この体験学習、そして、みずからが体で覚えるというところに力を入れていただければ、よりたくましい子供に育っていくのではないかと、私見を申し上げさせていただきました。
以上です。
○10番(増田望三郎) 私、農家民宿で都会の中学生を受け入れているんですけれども、夜のプログラムで1人ずつ夢を語ろうという時間を設けてやっているんですね。子供たち、最初はぎょっとした顔をするんですけれども、まず我々大人がしっかりと夢を語った後に、子供たちが1人ずつ語りだすんです。仲良くやっている子供たちなんだけれども、実は案外、お互いが目指しているものとか願っているものなんていうのを伝え合う機会って余りないのかなというふうに受け入れていて感じます。
先ほどの哲学対話になりますけれども、道徳の時間などを使って、子供たちが本当に自分たちの思考を深めていく、確認していく、そんな取り組みをぜひやっていただきたいというふうに思います。
18日に行った私の一般質問の議事録が届きました。
粗稿ですので確定版ではありませんが、暫定的なものとして見てもらえます。
また以下の市議会ホームページにもアーカイブとして動画がアップされています。
http://smart.discussvision.net/smart/tenant/azumino/WebView/list.html
画面左のウインドウの「令和元年6月定例会」→「6月18日本会議(一般質問)」→「増田望三郎」と進んでください。
テーマは「新学習指導要領を安曇野市学校教育はどう実践するのか」です。
教育長とのガチンコ一本勝負でした。
6月定例会一般質問 「新学習指導要領を安曇野市学校教育はどのように実践していくのか」
○10番(増田望三郎)
私は、これまで幾度となく、子供たちが自立した大人へと成長し幸せな人生を生きていくために、どういう環境や場を用意すればいいのかを議会で発言してきました。前回3月定例会では、地域学外における充実した体験機会をつくろう、そういうことを提案し、また、過去には、多様な教育機会を認めていくことを訴え、フリースクールへの理解と支援を提案しました。今回は、多くの子供たちが通い、その大半の時間を過ごす学校いわば本丸である学校教育に焦点を当てます。
文部科学省の定める新学習指導要領、以後、新要領と言いますが、2020年度から小学校、2021年度からは中学校で全面実施されると。今回の改訂の最も特徴的な点、これ読み込んできました。「主体的・対話的で深い学び」そういう学びのあり方について定めたことです。これを市の学校教育においてどう実現していくのか、この点を教育長としっかり議論させていただきます。
では、まず、この「主体的・対話的で深い学び」これはどういうことか。教育長はこの文言をどう捉え、そして、文科省がこのような文言をあえて打ち出すことになった社会背景をどう認識されているか。これは、今回の議論の大前提になる部分なので、しっかりと御答弁をお願いします。
○教育長(橋渡勝也) 増田議員にお答えいたします。
最初に、学習指導要領について簡単に説明させていただきます。
学習指導要領は、学校教育法第33条の規定を受けて学校教育法施行規則第52条ほかで定められた、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう文部科学省が定めている教育課程の基準でございます。教科書から時間割に至るまで、これをもとにつくられることになります。およそ10年に1度改訂が行われており、今がその改訂の時で、小学校では2020年度から、中学校では2021年度から新しい学習指導要領による学習がスタートいたします。
さて、安曇野市が平成30年3月に策定した第2次安曇野市総合計画の序論で述べているとおり、複雑化・多様化が進み不確実性が増す社会の中でも、変化に柔軟に対応し、国際的な視野のもとで、地域や社会において幅広く活躍できる人材を育成することが必要である。このことから、本市の小・中学校の児童・生徒には、社会の変化に柔軟に対応し、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え判断して、行動していく力を育んでいく必要があると考えております。
新学習指導要領が掲げている「主体的・対話的で深い学び」は、ただいま述べましたような、これからの時代を生き抜くために必要な力を育むための学びのあり方を示しているものと捉えております。
そこで、本年度の市教育委員会学校教育グランドデザインでは、たくましい安曇野の子供に迫るための重点として、「主体的に学び合う児童・生徒」を掲げました。このことは、新学習指導要領の趣旨を踏まえたものでもございます。これまでの教師の一斉的な授業スタイルから学習者ファーストの授業づくりへの転換も強く打ち出しているところでございます。
以上です。
○10番(増田望三郎) 議論の前提になるその社会認識ということで、ちょっと資料を用意しました。ごらんください。
グローバル化やスマートフォンの普及、ビッグデータやAIの活用などによる技術革新で、10年前には考えられなかった激しい変化が起きており、先の見通せない時代になっていると。そんな中で、今ある仕事の49%が2030年までにAIに取ってかわられると、こういう有名な研究発表があります。
では、我々人間は一体何をやるのか。人間としてのあり方を根本から問い直す大きな社会課題が今我々に迫っていると。これまでと同じような指導・教育では、それに立ち向かえない。文科省のそんな危機感さえこの文言から私は感じています。
それで、一方的に教わる授業から子供たちが主体的に考えて学んでいく授業、これに異を唱える方はいないと思うんですね。しかし、肝心なのは、学校が実際にそのような学びの場になっているのか。この新要領の趣旨を教育の最前線である学校側がこれを十分に理解し、本質的な学びの改革を実現していけるのか。この部分、要は、絵に描いた餅にならないようにということなんですけれども、これについて、もう少し具体的な取り組みをお聞きします。今年度は全面改訂に向けての移行期間ということで、既に学校で行われている取り組みをお願いします。
○教育長(橋渡勝也) 今回の新学習指導要領で新しく加わる教育内容というのは、いろいろございまして、外国語活動であるとかプログラミング教育、特別な教科道徳等々のことがあるわけですけれども、それらも、既に対応を進めておりますけれども、市内では、数年前から、小学校1校、中学校2校で、児童・生徒が互いに学び合う学習のあり方を模索する、そういうことに努めております。そして、外部から専門の講師を招いて、校内研修や成果を授業を通して公開する取り組みを行ってきております。この実践は、今申し上げました当該の学校だけではなくて、市内の小・中学校からの積極的な視察あるいは授業参観、こういった参加がありまして、自分の授業に生かそうとする教師の姿が多く見られ、全市的に広がりつつあるということは、私ども17校学校訪問していて感じるところでございます。
しかしながら、課題として、そのための教材研究であるとか授業づくりの準備の時間の確保、あるいは研修の場の確保、こういったことはさらに必要になってくると考えております。これについては、教育委員会としては、昨年度、安曇野市小・中学校教職員の業務改善方針を策定いたしまして、いわゆる働き方改革に、学校とともに取り組んでおります。また、職員研修における外部講師招聘については予算的に補助をする、そんなこともしておりまして、自校の課題に応じた校内での研修が充実できるように支援をしているところでございます。このことについても、その学校だけが研修をするというのではなくて、広く市内の学校にも、こういう研修がこの次ありますという案内を出しまして、他校からの研修参加も自由にできるように促しております。こういった地道な取り組みによって、教職員の資質及び指導力の向上を図ってまいりたいと取り組んでいるところでございます。
○10番(増田望三郎) 既に取り組んでいただいているということなんですけれども、私も先日、市内の該当中学校の授業を見学させていただきました。4人1組のグループ学習で、どの授業もそんな形でやっていましたけれども、お互いに聞いたり、話し合ったり、対話をする学び合いの姿というのがありました。
一方で、「主体的・対話的で深い学び」と言った時に、単に4人で並んでやっていればそれができるということではないと思うんですね。いかに深い学びにつなげていくかということでは、学校でさらにその部分をしっかり考えていただく必要があると思うんですけれども、もし、それを妨げるといいますか、そういったことがやりにくい、壁があるとするならば、それは何でしょうか。
お願いします。
○教育長(橋渡勝也) 壁と言われていることがどういうことを指すのかというのがちょっと捉えにくい部分もあるわけですけれども、先ほど課題として申し上げた、やはり1つの授業をつくり上げるというのは、学習形態がグループ学習にすればいいということではなくて、そこでどういう課題をどういうふうに深めていくかという、教師の指導観であるとか、深い教材研究であるとか、そこにどういう教材を持ってくるとか、そういうものがなければ、形だけに終わるということになりがちだと思うんです。で、そこで、先ほど申し上げましたように、授業をつくる前、命の部分は、私は教材研究であるなというふうに思っているもんですから、その時間の確保ですね、それはしっかりできるようにしてやりたいなというふうに考えております。
働き方改革という名のもとに、時間外勤務を縮減するということはもちろん考えていかなければいけないことなんですけれども、それによって、本来やるべき教材研究の時間がないということでは本末転倒になる。そこのところをいかに確保し充実させるかというのが、学校とともに考えていかなければいけない課題だと思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) すみません、ちょっと壁という例え的な言い方でわかりにくかったと思うんですけれども、私が捉える壁というのは、1つは先生の指導観、教育観、こういったものをやっぱり見直していただかないといけないかなと思っております。これについては、また後で述べます。
もう一つの壁は、先生方の、教育長のおっしゃった、負担をいかに軽減するかということに鍵があると思います。今回、このテーマを質問するに当たり、現場に立つ校長先生や何人かの先生方と話す機会をいただきました。皆さん同じく言われるのが、新要領が先生の負担を新たにふやすことにつながるんじゃないかと、そういう危惧でした。ある先生は、趣旨としては理解できるが、賛同できても、授業改善に注ぐ時間がとれない。そこで、例えば、部活動を外部指導員にお願いできれば、負担軽減がされ、授業改善の時間も気持ちもあけられる充てられると、そういうことを言っておられました。
新要領の実践に先生方が注力できるように、そのために働き方改革は絶対条件だと思っています。
では、少し視点を変えて質問します。
2つの数値について注目しました。この数値は、「主体的・対話的で深い学び」という観点で捉えると、どのような課題が見えてくるか、その分析をお願いします。
まず、1つ目は、不登校の児童数について。この点お願いします。
○教育長(橋渡勝也) 不登校の状況につきましては、年間30日以上の欠席者数で統計をとっておりますけれども、安曇野市の場合、在籍比で、平成29年度1.41%、全国平均の1.47%、県平均の1.53%と比較すると、やや低いものの同程度と捉えられる状況かと思っております。
その要因別の集計を見ますと、学校にかかわる状況の中では、小・中学校ともに、学業の不振というのが最も多く、次いで、いじめを除く友人関係をめぐる問題となっております。このことは、学校における友達とのかかわりを豊かなものにふやしていくとか、あるいは授業の質的向上を図ることが、学校生活をより楽しく充実したものにして、ひいては不登校になる子供たちの減少につながるのではないかと、こういうふうにも読み取っているところでございます。
以上です。
○10番(増田望三郎) 本市でも、不登校対策として、不登校支援コーディネーターの配置や中間教室、教育支援センターの設置などの取り組みを行っていただいているんですけれども、一方で、それらはやっぱり不登校ありきの対策であり、一人一人の子供に対応した教育環境になり切れていないということの証左でもあると思うんですね。今教育長おっしゃたように、新要領「主体的・対話的な深い学び」これが、そのことで子供たちが主人公になっていく、わくわく学んでいける、そういうことにつながっていくんじゃないかなというふうに思っています。
2つ目の数値です。全国学力学習状況調査について、この点についてはいかがでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 全国学力学習状況調査の中で、今回の「主体的・対話的で深い学び」に着目して分析をしてみますと、質問枝の中に、「主体的・対話的で深い学び」にかかわる設問がございます。「学級の友達との間で話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができていると思いますか」というものでございます。これについて、当てはまると答えた中学生の割合は、平成30年度は、前の年度より10%以上の上昇がございます。小学校でも、年々向上が見られます。しかしながら、この数値自体はまだ30%というもので、高いとは言えません。先ほど議員も御指摘のように、教師の意識改革とともに、学ぶ側の児童・生徒が真に主体的に学ぼうとする自覚であるとか意欲であるとか、そういったものもあわせて高めていかなければいけないと考えております。
この数値については、今後も注目しながら、「主体的・対話的で深い学び」の実践に支援をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○10番(増田望三郎) それでは、先生の指導観という話を先ほどもしたんですけれども、ちょっとここで、壁の話、子供たちの主体的な学びに立ちはだかる壁と言っていいか、ここでは、先生の指導観や、我々大人の、親たちの教育や子育て観について、目的と手段を取り違えないという観点で述べてみます。
学校の卒業式の実例を紹介します。私も議員として毎年、地元小・中学校の卒業式に出席しています。毎回思うのは、よくもまあこんなに規律がとれているなということなんです。一糸乱れぬ壇上者への挨拶、合図もないのにピタッとそろった起立と着席、式を終え控室に戻ると、さすがだと来賓の方々の賞賛の声が聞こえてきます。
実は、私はこれをずっと疑問に思っていました。子供たちはどんな思いで座っているんだろうと。卒業の主体者は誰か。言うまでもなく子供たち自身ですね。その子供たちが、卒業の意味を考えることよりも、統率のとれた動きを意識することに気持ちを向けなければならない。まさに目的と手段を取り違えています。何のための卒業式なのか。誰のための卒業式なのか。これは、昨年のある小学校の卒業児童が涙ぐみながら私に言った言葉です。卒業式でも運動会でも音楽会でも、子供たちが主体的に取り組み学びを得ることより、きちんと整然とやること、それを見せることのほうが重要視されていないか。または、それが過度になり、子供たちの心に覆いかぶさっていないか。学校が、また我々親が大事にやり続けてきたことの中に、こういった目的と手段の取り違いがないかと考えるわけです。
それは、先生たちがどんな物差しで事を進めているのか。我々親や大人たちが子供たちの何を見てよしとしているのか。子供たちの学びのあり方を改革していこうという時に、先生をも親も地域の大人も自身の教育観を振り返られるか、そのことが問われているんだと思います。それを私は壁と、自分自身の壁、見方の壁を子供たちのためにぶち破らなければならないなと思っています。
先ほどの卒業式での例と、先生方がどのようにしてこの要領を自身のものにしていくのか、そのために市教委としては何ができるのか、もう一度教育長にお願いします。
○教育長(橋渡勝也) 市教育委員会では3年前から教育委員と事務局職員が市内17校の小・中学校全ての教室を訪問し、教育の現場をつぶさに見てまいりました。
平成30年度は6月から11月まで実施をし、毎回、学校長と市教委との懇談の中で、参観者全員から感想・意見を学校側に伝え、校長が主体性を持って学校運営を推進できるよう支援をし、その後、全教職員との懇談も行ってまいりました。そして、全ての訪問を終えた11月末に、教育委員会定例会で総括をし、訪問を終えて、「17校への願いと期待」と題するメッセージを各学校に派出をいたしました。
この中で、おおむねどの学校でも成果として感じることとして、1、整った学びの環境、2、わかった、できたの声があふれる教室、3、ICT機器の積極的な活用、4、地域と連携した教育活動の充実などを挙げ、このことについては一層伸ばしてほしいとお願いをいたしました。
さらに、今後期待することとして、1、伝統を継承するとともに、改革の一歩を歩み出してほしい、2、先生こそ元気で笑顔を絶やさないでほしい、3、児童・生徒が主役の授業づくりを、4、より安全・安心な学校に、5、地域に積極的に出ていく学校のこの5項目を示し、意識の改革と行動を促しております。
教育委員会としましては、教職員が自身と誇りを持ってその専門性を発揮し、子供一人一人の個性やよさを引き出し、楽しい学校、活力に満ちた学校を地域・保護者とともに創造してほしいと願っております。その教育が行われている現場は、まさに学校なわけです。
先ほどから申し上げていますように、学校は変わろうとしています。そして、教職員、児童・生徒もそれに向かって取り組んでおります。ぜひ、その現場を見ていただくことが大人の意識改革、見方を転換することにつながると思います。
先ほど、増田議員から卒業式の場面のお話がございましたけれども、一つ一つの活動は全てねらいを持って行っている意図的な教育活動の一環であります。もちろん、そういう卒業式という場でどういう所作をしたらいいかということもその中に含まれるでしょうし、一番は、心から卒業を祝おうじゃないか、あるいは、卒業生は心から学びやに感謝をし巣立っていこうではないか、こういうことがしっかりとしたねらいとしてあるはずでございます。
議員が先ほどおっしゃったように、そのことに違和感を覚えたというお話でございますけれども、ぜひそのことを伝えて、そして私どもも学校もそれを共有して、そして子供たち、保護者、地域の皆さんの声も聞きながら、本当に求めるものは何かということを失わないように、やっぱり共に考えていくのが教育であろうと思います。
改めて、学校はいつでも開いておりますので、ぜひおいでいただいて率直な御意見を賜りたいと、こんなふうに思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 先生方の指導観や教育観、大人のその教育観を振り返っていこうということを伝えたわけですけれども、一方で、そういった個人の見方・考え方ということだけではなくて、学校自体の当たり前を見直す必要があると思っています。
そこで、3つの具体的な提案をいたします。
まず、ちょっとシンプルな質問なんですけれども、学校はなぜ宿題を出すんでしょうか、なぜ定期テストをするんでしょうか、これ、お願いします。
○教育長(橋渡勝也) 宿題にしても定期テストにしても、その意義が、出す側、受ける側に明確でないとこれは意味がないことではないかとか、あるいは過度の競争をあおるということになりかねません。私は、宿題は学校で学んだことの確認や定着、予習、家での学習の習慣等のために行う家庭学習の1つであると。定期テストは、学んだことの生徒自身の達成度を知ることと、教師の指導のあり方を確認し見直すために行うものと考えております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 目的はそういうことだと思うんですよね。まさにそれ100点満点の目的だと思うんですけれども、実際に、じゃ、それがそうなっているかということがここの議論なんですね。
例えば、宿題は出すのが当たり前、子供たちは出された宿題をやらされると捉えてしまう、私は、ここから抜け出さないとだめだと思っています。宿題の出し方や中身を変えていくべきだと考えます。
全国学力調査で常にトップの秋田県では、子供たちがみずから課題を考えて勉強する家庭学習ノートの実践があります。安曇野市でも、自習学習ノートをつくり、週末には自分が考えた課題を勉強すると、こういったこともやっていただいているわけですけれども、子供たちが自分たちで課題を見つける、または、自分で課題を見つけられるように先生は子供たちに向き合っていく、みずから学ぶことのおもしろさを子供たち自身が感じられるように、一律の宿題や、書くだけ、埋めるだけの宿題というのをやめてみたらどうかと、そういう提案です。
次に、定期テスト。
これも、当たり前のようにありますが、通知表や内申書を書くためには必要なのかもしれませんが、子供たちの評価を学期に2度のテストで計るのではなくて、例えば、定期テストのかわりにそれぞれの実力を計る単元テスト、そういったことも組み込んでいけばどうかなと思います。
こういった宿題と定期テストの見直し、先ほども教育長に目的については言っていただいたわけですけれども、現状を見ていく必要、見直す必要はないでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 保護者の1人でもある増田議員がそのように感じておられるということですので、私どもの実践していることがなかなか浸透していないのかなという思いもいたしますけれども、少し取り組みを紹介させていただきたいと思います。
私の現役時代によく出した白文帳というものがございました。生徒は一生懸命ページを埋めることに専念するわけです。ですから、熟語であってもばらばらにして、とにかく上から下まで同じ字をできるだけ早く埋めようと。教師のほうも忙しい中でそれを点検するということあって、何ページ出したとか、何日出したとか、何冊たまったとか、そんなことで、本当は漢字の習得をさせるためのものでありながら、ページ数でそれを評価するような、そんなことも行ってきたことは事実でございます。
しかし、こういう方法が本当に学力向上につながる最善の方法であるのかということが数年前から議論になりまして、まさにこの新しい学習指導要領がスタートするあたりなんですけれども、安曇野市では、家庭学習のすすめというリーフレットを市教委と校長会、教育会、PTA連合会が合同で作成して配布をしております。これは今でも配布して生きているものでございますけれども、少し紹介させていただきますと、この「家庭学習ガイド」は、保護者の皆様の家庭学習についての疑問にお答えする形で、お子様の成長に合わせた家庭学習のポイントや支援の具体例を載せてあります。学校と家庭が協力し合い、主体的に学ぶ『たくましい安曇野の子ども』を育みましょうと、これが冒頭に書かれている言葉であります。
この中には、小学校・中学校別に学習時間の目安はどのくらいでしょうかと、家庭の質問に答えるような形でおおよその目安も示してあったり、家庭でどのようなことに気をつけて支援すればよいでしょうかというようなところでは、小学校1、2年だと、学習する場をテレビを消し、机の上を整頓し集中して学習する環境をつくりましょうとか、決めたお手伝いを家族と一緒にやりましょうとか、あるいは親子も一緒に読書をしましょうというようなことが具体的に書かれております。
3、4年生になりますと、テレビやゲームの時間を相談して決めましょう、5、6年生になりますと、友達関係で不安を感じたりすることを家庭でも話題にしてみましょうと。あるいは、新聞やテレビのニュースなどについて家族で話し合う機会も持ちましょう、インターネットの約束事を決めましょうとか、そんなことも含めて、家庭での学習のあり方をガイドしている、こういうすすめをつくって配布をしております。
このような中で、いわゆる宿題というものも入ってきているわけですけれども、やり方次第では、学校と家庭が連携によって主体的に自分で考えて、そして学ぼうとする育成を実践できるのではないかなというふうに考えて取り組んでいるわけなんです。
しかしながら、実感しているところではなかなかまだその改革が進んでいないというところですので、これも、理想を掲げるだけではなくて、一緒に実のあるものにしていく努力はこれからしていかなければいけないと思っております。
いずれにしても、宿題、家庭学習のあり方、テストの内容、これは常に見直して、よりよいものにしていく努力は必要であろういうふうに考えております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 例えば、一律でやってきたものを見直すというようなことをすれば、先生は子供たち一人一人によりきめ細かく向き合うということが求められるわけです。さらに、その新要領の「主体的・対話的で深い学び」となる授業改善、これも求められると。先生の専門性が高まり、さらに負担が増していく、先ほどの先生の言葉もありましたが、そこで3つ目の提案として、固定担任制の見直しを提案します。かわりに、学年の先生方がチームになって複数で各クラスを見ていくというものです。
これまでも学年ごとにやってきたとおっしゃられるかもしれませんが、担任が固定していると外部からは口が出しにくい、各学級が閉ざされた空間にもなりやすいので、仕組みとして固定性制をやめると。子供にとっては、クラス担任個人の力量によって指導の差異が生じることを防げます。
私も、子育て中の親で、親同士の会話の中で、先生の当たり外れが話題になることがあります。それは、聞く子供たちには本当にそれは百害だと思うんですよね。絶対に親はそんなこと言っちゃいけないと思うんだけれども、そういったことも、複数担任、固定性制を見直せばなくなると思います。複数の先生の目が子供たちに行き届くことでいじめや不登校にもいち早く気づけるんじゃないかと。先生にとって、これも大きいですね。1人で何とかしなければならないというプレッシャーから解放され、負担軽減にもつながると。既に、長野市に固定性制を見直した実践校があります。この点、我が市教委、安曇野市はどうでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 最初に、学級担任ということについてどういうふうに定められているかということをお話させていただくと、いわゆる国の定数法によって配置数が定められております。一方、指導要録であるとか調査書などの公的文書には責任の所在を明らかにするために学級担任名を明記する必要もあります。最終的に誰が学級担任であったかということは明確にしておくべきであると考えております。
その上で、この多様で複雑な社会環境も反映して、保護者の考え方であるとか期待、そういったものも非常に多様化してきて、子供たちもさまざまな特性を持った子たちが大勢いるわけです。それぞれのその個性や能力を伸ばす責務を負っている教師も、より幅の広い知識と技能、専門性、指導力、こういうものは今まで以上に必要になってきておりますし、それにも増して、豊かな人間性だとか温かい心だとか、そういったものを持つことが求められています。
しかしながら、そういったものを全ての教師が1人で全てを兼ね備えているということは到底難しい話でもございますので、多様な個性、能力、特技、それは子供と同じなんですが、そういうものを持った教師が、複数で、しかも柔軟に対応するということは、これはもう今や当然であろうと思っております。
では、安曇野市ではどうかということでありますけれども、実は、穂高西中学校が開校したときに、毎年学級編成がえを行うと、それから、それにあわせて担任も固定化しないように全て変えようと、こういう取り組みをスタートいたしました。そしてあわせて、1クラスに複数の副担任を置くと。そしてその副担任は複数の学級を受け持つと、こんなことを導入いたしました。それは、目的は何かというと、もっと生徒と生徒が交じり合ったり、あるいは、生徒もさまざまな教師と交流することが必要ではないかという、まさに固定的な担任制を変えていこうという動きだったわけです。それは、全く同じように全ての中学にということではなくて、市内の中学校でも3年間のうち1回は学級編成がえを行って、学級担任も3年間固定しないようにしようというような取り組みに今発展をしているところであります。
このように、安曇野市ではそれぞれの学校で常に検討を重ねてきている問題で、大事なことは、目的をはっきりと定めて、それを共有しながら、そこへのアプローチの仕方はさまざまあっていいと。ですので、議員が期待されているように、安曇野市は全て固定担任制をやめるぞと宣言して一律・一斉に同じようにするのではなくて、これまで培ってきたこういった学校の歩みを大切にしながら、実態に合わせてその時々の教職員が英知を結集して考えていくと、そして変えるべきは勇気を持って変えていくと。しかしそのときには、児童・生徒、保護者、地域への丁寧な説明ももちろん必要になってくると思います。市教委もそういった学校の悩みを共有しながらよりよい方法を一緒に考えていくと、こういう方向で歩んでいきたいと思っているところであります。
以上です。
○10番(増田望三郎) それでは最後の質問に入ります。
最後に、「たくましい安曇野の子ども」に向けてということで質問を求めます。
新要領では、新たに道徳を教科として始めるということを定めています。
この道徳を、先生方もどんな指導をし、どう評価するのかということを思案されていると思うんですけれども、ぜひやっていただきたい取り組みがあります。
「哲学対話」という取り組みです。
哲学というと難しい学問と思われがちですが、わかりやすく言えば、みずから問いを立てる、みずから問いを見つけるということです。
これは、大人でも難しいことかもしれません。この視点がなければ、のんべんだらりと時間は流れ、人生は過ぎ去ってしまう。議員だって任期が終わってしまう。学校は、子供たちに課題を一方的に与える場ではなく、みずから課題を見つけられる人、それに向き合える人を育てる場であってほしいと私は願います。そのための哲学対話です。
幸せって何、大人になるとは、そんな身近なテーマから出発して、グループで一緒に問い、考え、話し合っていく。これ、簡単に結論が出ないんですね。簡単に結論を出して納得させずに、考えようとする姿勢が育ち、対話を通じてお互いのことを知ったり、自分自身の新たな気づきを得たり、まさにこれぞ主体的・対話的で深い学びを具現した取り組みだと思います。
先ごろ、県内の中学校・高校で既にこの取り組みを実践している長野県立大学の馬場智一先生にお話を伺ってきました。
大学の先生として、初年次教育、つまり1年生の教育と哲学対話を行うと、新入生1年生の思考が小さくまとまってしまっていると、そう感じるそうです。小・中学校や高校時代に思考を深める機会の必要性をおっしゃっていました。
この哲学対話を道徳の時間に行う、まずは、ぜひ実践校への視察を教育長にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○教育長(橋渡勝也) 今回の学習指導要領の改定によりまして、特別の教科、道徳が新設されて、既に実践が始まっております。
今回のこの特別の教科 道徳では、自分事として捉え、考え、議論することを通じて道徳性を育む、このことが強調されております。
さらに、この道徳では扱うべき22の内容項目があります。基本的には、学級担任である教師が目の前の児童・生徒の実態や心情に合わせて適した道徳教材を用いて工夫した指導法によってこの考え、議論する道徳をつくり上げていくということが大切だと考えております。
議員御提案のこの哲学対話、これは、道徳の授業をさまざま工夫する中で、役割演技であるとか、さまざまな方法が今工夫されているんですけれども、そういった1つの指導方法に位置づけられるというふうに考えます。
全ての道徳がこの哲学対話の方式で行うというのではなくて、今後、授業する教師が建前ではなくて本音で語り、思考をもっともっと深めさせたいということでこの方法を取り入れたいと、そして子供たちと道徳の授業をもっと深めたものにつくり上げていきたいというふうに考えれば、そういったものが取り入れられていくこともあるのではないかと思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 視察に行っていただけませんかね。
○教育長(橋渡勝也) 現在、教科書会社の中でも1社で取り上げていることでございますので、私も研究はしてみたいと思っております。
以上です。
○10番(増田望三郎) 今回の質問で、新要領が学校教育の学びのあり方をもう一度見直して、子供たちが学ぶことがわくわくする、そんな学校にしようということを宣言しているんじゃないかなと私は捉えています。
これを、お上からの御託宣にしてはいけないんですけれども、子供に寄り添う教育者として、これは本来やりたかった教育なんじゃないかなと思うんです。
このテーマで、実は中学生の子供たちとも話し合う機会を設けたんですけれども、子供たちも本当にこの方向性をすごく待ち望んでいるなと感じました。この新要領を追い風にして、子供たちのために学校現場からのチャレンジ、教育委員会としてのチャレンジを期待します。それには教育長の熱意と理念的なリーダーシップが必要だと思います。今回、マンツーマンで議論をさせていただきました。最後にもう一度、教育長のお考えをお聞かせください。
○教育長(橋渡勝也) 本日の答弁では、たくましい安曇野の子供の育成に向けた学校教育の取り組みについてお答えをしてまいりましたけれども、このたくましい安曇野の子供は、就学前から中学校卒業後も含めて、あらゆる成長の段階でさまざまな場面を捉えて、学校を含めて市民総ぐるみで取り組むべきと考えております。
例えば、生涯学習課では地域を担い活躍できる子供を育てることを目標に掲げておりますけれども、この背景には、地域の伝統行事である三九郎などが大人の行事であると、大人の行事になってしまっていはしないかと、こういう問題提起がございました。
そこで、青少年のリーダーを育成して、そのリーダーを中心にやぐらの組み立てなどが主体的にできるようにしたいということで取り組んでまいりました。本年度の安曇野市子ども会育成会連合会の総会で、ある地区で子供たちが中心になって三九郎の組み立てを行ったという実際の事例が発表されました。やはり、大人の意識改革と子供たちの可能性を引き出すための活動の広がりが、ここで私は大いに期待されるなと思ったところであります。
また、3月定例会で増田議員に答弁させていただいた夏休みの過ごし方にかかわって、市内企業の方々の理解と協力が得られて、小学校高学年を対象に初めてとなる企業見学会が実現しそうでございます。
このように、本市では子供たちが自然・芸術・文化・スポーツ・産業等の本物に触れる機会、こういったさまざまな仕掛けを考えておりまして、学ぶ環境を多様に用意してまいりました。この安曇野の特色を生かした豊かな体験的な学びを市民総ぐるみで支援していくことを通して、ふるさと安曇野に誇りと愛着を持ち、未来の安曇野市を担う意欲と、そしてその力を備えたたくましい子供を育みたいと、こんなふうに改めて決意をしているところでございます。
以上です。
○10番(増田望三郎) ありがとうございました。
それでは市長、お待たせしました。
学校教育は、今大きな転換期を迎えております。最後にここで、今までの我々の議論をお聞きになって、学校現場での主体的・対話的で深い学び、その実現に向けての市長としてのメッセージをお願いします。
○市長(宮澤宗弘) 市長としてのメッセージということでございますが、私、教育問題、今議論を聞いていて、結論がなかなか出るものではないなという思いをいたしました。もちろん今までも言われているように、教育は百年の計と言われておりまして、いろいろな考え方や意見があろうかというように思いますので、到達点はないんじゃないかなという思いがいたしております。ただ、私見ということになろうかと思いますが、若干、私見を述べさせていただきながらお答えをさせていただきたいと思います。
まず、増田議員から出されたこのITの普及による仕事はどうなるかというパンフレットでございますが、これは、私どももかつて予測しなかった時代背景がございますし、本当にこの今の仕事が約半分なくなってしまうのかなという思いをして、大変ある面では子供たちが果たしてどういった教育を受けることがいいのか、私自身も勉強が大嫌いでテストはないほうがいいなと思ったこともありますが、その中で、安曇野の子供たちのみならず、日本の子供たち、これから成人をした先、10年後、20年後は自分でこの問題を見つけて自分で考えて行動していく力というのが今よりも求められていくのではないかなというように思っております。
これは、世界を見ても、ITの時代、情報化の時代、何を信用していいかわからないような時代背景が一方にはあるというように捉えております。いずれにしても、この人生の基礎をつくるというのが教育であるというように捉えておりますし、また、義務教育の責任は、その一端は教育委員会が担うわけでございますが、これは教育委員会が主体となって小・中学校、やるべきことをしっかりやってもらうことはもちろんですが、捉える側も、全てが教育委員会の責任だ、学校の責任だ、行政の責任だということではなくして、やはり家庭教育というものが最も重要ではないかなと、そして家庭と学校と地域が連携をして子供を育てていくという考え方をもう少し浸透させる必要があるというように私は捉えています。ただ一方で、昔と違って人と人との絆がどんどん崩れてくる、そして特に大きな壁として私は考えるのが、プライバシーの問題であるとか個人情報の問題が余りにも表に出てしまって、例えば、いろいろ気がついたことでも、子供には物も言えない、あるいは、仮に隣のおじさんが隣の子供をどなったとすれば、親がすぐに介入してくるというような問題も発生をする、そうすると、物事にかかわりたくないなと、見て見ぬふりをするような背景が一方ではあるのではないかなと感じております。
いずれにしても、これは地域全体がこの子供たちをどう育てるかということにもっともっと関心を持ってもらって一緒に考え、行動するということが必要ではないかなという思いはあります。
加えて、私、先ほど申し上げました、私見でございますけれども、教育の中、あるいは日常活動の中で今子供のけんかというのがなくなってしまいましたし、私どものときのように問題提起をしてそれを徹底的に議論するというようなことがなくなってしまっているのではないかなと。そして一方では、この農業が衰退する中で、体力的に果たしてどうかなという思いもございます。この自然豊かな安曇野の中で、かつては女子の小・中学生の皆さん方が長野県の平均より体力が落ちているというようなお話もお聞きをしたことがございますが、この豊かな自然の中でなぜ安曇野の子供が体力が落ちるのかなとちょっと不思議に思ったこともございます。
いずれにしても、今、私としては、仲間を大切にする教育、そして人権を尊重しながらまず命を大切にする、そしてお互いが認め合う平和を大切にする、そして人と人とのつながりを深めるということが非常に大切だというように考えております。
今、各学校のお話をお聞きしますと、市内の小・中学校の重点目標、9校が挨拶を具体的な目標に位置づけているというようにお聞きをいたしました。元気な挨拶は人間関係の円滑化にもつながると思いますし、やはり礼儀正しいということは人間が生きていく上でのある面では基本ではないかなという思いもしております。
きょうの信毎にちょっと中学生の意見が出ておりましたけれども、自由とはどんなことかと、自由とは何ぞやというような意見が投稿をされておりました。
まさに、自由というのは何でもかんでも自分勝手にやればいいということでは、私はない、そして、卒業式の話も出ましたけれども、やはり、人として1つの儀式、人間としての1つの卒業式というのは私は区切りだというように捉えます。そうしてみると、やはり、それだけの規律というか礼儀というか、そういうところできちっと学ぶべきところは学んで身につけるということが大切ではないかと私は考えております。
学校の先生方も挨拶を大切にするということでございますけれども、これは、議員が問題提起されておりました主体的・対話的な学び、これに通ずるものではないかなという思いはいたしております。ただ、人とかかわる力そのものがまず必要だということでございますが、そのための基本が挨拶ではないかなという思いはしております。
ただ、もう一つ私としては、当たり前を見直すという提案がありましたけれども、当たり前に言っていること、挨拶のよさというようなものを見直すというようなことではなくして、もっといいものはどんどん広めていくということも大切だというように思っています。
もう一つは、農業が衰退をする中で、お互いに支え合う・助け合うという意識も確かに薄らいできたことも事実であります。ただ、私は、現場の中で農業をもう少し大切にする、これは物を育てるということにつながっていくと思います。そして、物を育てるということは、手をかければかけただけ相手もそれに応えてくれるということでありますから、命を大切にする、仲間を大切にするということにつながっていくのではないかという思いがございます。したがって、この土のにおいであるとか汗のにおいを大切にする、そういうものを感じ取れるような人材育成に力を入れてほしいなと。もちろん、地域の皆さんと一緒になって物をつくっている、あるいは農作業をやっている皆さんもおいででございますが、実は、本年入省した職員28人、この間研修会をやらせてもらいました。そのときに、農業経験者は手を挙げてほしいというお話をさせてもらいましたけれども、1人だけ体験をしたことがあるというようなことで、ちょっとびっくりした、こんな状況もございます。そんな中で、やはりもう少し農作業、これを通じて協働の精神を養うとか、仲間を思いやる心が成長していくのではないかなと。みずから体験をしたことというのは、やはり大きくなっても、学んだことよりも体験をしたこと、これも体験も学びでありますけれども、比較的忘れない、みずから体験をもっともっとすることによってたくましい子供が成長し得るのではないかなと。ペーパーテストだけで生きる力は養えないと私は考えております。
いずれにしても、この教育問題、非常に難しい課題ではございますが、たくましい子供を育てる一助になるものではないかというように考えておりますし、また、先ほど教育長が話をしました。各企業、非常にすばらしい企業がたくさんございます。これも、新しく入った職員の皆さんにお聞きをしても、市内のすばらしい企業がたくさんあるけれども、なかなか企業名が挙がってこないというような現実もございます。一方で企業は門戸を開いて、それぞれの企業のよさを子供たちに伝えようという取り組みもしておりますので、企業体験をする中から現実の社会を学ぶというようなことも大切だというように思っておりまして、この体験学習、そして、みずからが体で覚えるというところに力を入れていただければ、よりたくましい子供に育っていくのではないかと、私見を申し上げさせていただきました。
以上です。
○10番(増田望三郎) 私、農家民宿で都会の中学生を受け入れているんですけれども、夜のプログラムで1人ずつ夢を語ろうという時間を設けてやっているんですね。子供たち、最初はぎょっとした顔をするんですけれども、まず我々大人がしっかりと夢を語った後に、子供たちが1人ずつ語りだすんです。仲良くやっている子供たちなんだけれども、実は案外、お互いが目指しているものとか願っているものなんていうのを伝え合う機会って余りないのかなというふうに受け入れていて感じます。
先ほどの哲学対話になりますけれども、道徳の時間などを使って、子供たちが本当に自分たちの思考を深めていく、確認していく、そんな取り組みをぜひやっていただきたいというふうに思います。
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