私がもう1つの裁判を起こしたわけ~安曇野の田園風景を守るために~
- 2019/05/15
- 23:59
安曇野の田園風景を愛し、
それを守りたい、守ってもらいたいという方は、ぜひ以下を読んでください。
安曇野の水を守ろうと北小倉のゴミ処理施設問題で、
地域住民の方たちが行政や業者との裁判になっていることはみなさんご存知かと思います。
私も地元のみなさんと共に一部の裁判で原告団になっています。
で、実は私はもう1つ裁判の原告になっていました。
それが「安曇野市の公金支出返金訴訟」です。
しかもこの裁判は本人訴訟と言って、原告の代理人となるプロの弁護士さんをたてずに、
小林純子議員と僕の2人が法廷に立って、
被告側のプロの弁護士さん、そして裁判官と渡り合っていました。
どこまで渡り合えていたかは別ですが。
なぜ裁判まで起こしたかということなのですが、それには相応の理由があったからです。
その理由を示すために、この案件の内容を書きますが、とても複雑です。
端的に書くと(なかなか端的に書けないのですが)、
穂高の民間業者の所有地に置かれていた機関車(安曇野市所有)を、
事業者の事情(太陽光発電施設の建設計画)で移設した。
この移設先の土地は元々は農地で、事業者の駐車場として農地転用申請を出していた。
しかしその転用が完了していない(駐車場になっていない)のに、それを市が認めてしまい、
安曇野市の公金を使って違法に移設したというもの。
このようなことが起きてしまうのはなぜなのか。
市行政の故意または重大な過失によるものなか、
あるいは事業者と市職員らが共謀して、移設に何ら法的な問題はないとしたのか。
いずれにせよ、違法状態による市の公金支出は市(市民)に損害が生じているので
その移設費用等を返還せよ、と訴えたのです。
これでも分かりにくいですかね。
さらに平たく言うと、
このような違法の農地転用をしてしまうと、
★安曇野の田園風景は守られなくなってしまう★。
もっともな理由で農地転用の申請を出しておいて、
それをダミー(見せかけ)にして、本チャンのものへと変更申請する。
今回なら、駐車場にする、と言って申請を出しておいて、
本来なら認められない機関車展示場にしているのです。
(機関車がもともとあったところを太陽光発電施設にしたかった)。
こういったことを認めてしまうと、
田園風景を基調とする我が安曇野市の根幹を揺るがす事態になります。
そこで、そんなおかしなことをしてはダメだよ、と行政を追求したわけです。
もちろん初っ端(しょっぱな)から裁判に訴えたわけではありません。
行政窓口に通い、状況を確認し、こちらの指摘を伝えました。
当事者である行政を直接追及しても、向き合い方が温(ぬる)いので、
住民監査請求という行政とは別機関の監査委員会にその調査を依頼しました。
※住民監査請求とは
行政の行為がおかしい場合、
住民は監査委員会という市の機関にそれを監査してもらうことができます。
結局、監査結果は問題なしとされたので、
次の手段として裁判所に判断を仰ぐ、住民訴訟という手段に踏み切ったわけです。
繰り返しになりますが、なぜそこまでやったかというと、
それは★安曇野の田園風景を守りたいから★です。
7回にわたる公判に僕と純子さんは出かけ、プロの弁護士や裁判官を相手に、
しどろもどろになりながらもなんとか公判を進めてきました。
そして3月8日に判決。
判決結果は原告敗訴。僕らは負けたのです。
ところが、判決文をよくよく読んでみると、
「市は自ら本件土地において農地法違反の状態を生じさせたものというべきである。
そうすると,市が進めた本件機関車の本件土地への移設事業は
法令や規則に従ってその事務を誠実に管理し
,執行すべき義務を負う地方公共団体の行為として,違法の評価を免れない。」
「実態とは異なる事業計画に基づき本件転用変更申請を行い、
これに対する承認を得ていることから、
民間業者の得た本件転用変更申請に対する承認には
手続的瑕疵があるといわざるを得ない。」
「農地法違反の状態を生じさせているものとして違法の評価を免れない。」
「本件賃貸借契約を締結して本件機関車を本件土地に設置していることは
農地法違反の状態を生じさせているものである。」
など、市の違法性や瑕疵を指摘する箇所が判決文に6カ所もあるのです。
こういった指摘をしていながら、なぜ被告側(市側)が勝ったのかというと、
裁判所は、
「本件機関車の移設事業は、地元の要望の公益性を有する事業であり、
移設事業自体は違法ではない。移設費用の安くて済んだ。
(中略)
農地法に違反するものであるとしても、
これは市の事業を進めるためにされたものであり、
実際に市の利益に適ったと言えるので、違法な行為とまでは言えない。」
と言っているのです。
簡単に言うと、農地法の違法性はあるが、市の事業自体は公益性があり、
地元の要望もあり、機関車の移設費用も最小限で済んだのでいいでしょう、ということです。
とんでもない判断です。
新市役所の当初の建設予定地も農地法の関係でNGで、今のところになりました。
田園環境区域に見られる市の土地利用条例の厳しい制約も、
安曇野市の田園風景を守るためです。
こういったことが反故にされてしまいます。
私と純子さんは相談して、判決を不服として控訴はしませんでした。
問題のやり取りを裁判所というブラックボックス(我々の手が届かない、という意味)に委ねるより、
今回の判決文で指摘された市の瑕疵や違法性を
直接的に議会の場で追及していくことの方が良いと考えたからです。
裁判判決文にある違法性や瑕疵についての指摘を行政がどう受け止め反省して、
行政運営につなげていくかをしっかりと見ようと思ったのです。
で、本日5月15日に本裁判結果に対する行政の説明がありました。
そこでの行政側の説明は、
「瑕疵や違法性は無かった。」、「市の方に故意や過失は無かった。」
というもので、根本的な部分での反省がありませんでした。
特に農地転用の裁判所の判断について、安曇野市が今後このような運営をすれば、
いくらでも農地転用がなされてしまい、
まさに安曇野の田園風景は失われてしまうことに対しての危機感を行政側からは感じませんでした。
行政がこのような有様なのですが、ではその行政をチェックする議会・議員はどうだったか。
今日の全員協議会では、行政側の説明を受けて、
中には松枝議員のように事の重大さを理解して、
「行政は第三者委員会のようなものでしっかりと検証する必要があるのではないか。」
という発言をする方もいました。
一方で内川議員のように、
「議会で移設費用の予算案を認める議決をしておいて、
それを覆すような行政裁判をするのは許されない。
2人の議員のパフォーマンスとしか映らない。
敗訴した以上、2人の原告議員は責任を負わなければならない。」
というような内容を議員通信で書かれる方もいました。
個人の議員通信なので何を書いても自由なのですが、
私のことが書かれている以上、キッチリとここで反論しなければなりません。
そのことも今日ご本人にお伝えしました。
これはまさに表層のみを捉えた浅い理解での発言だと思います。
安曇野の農地が切り崩されていくことにもつながる判決であり、
行政の態度であることがお分かりにならない。
気概がある方だけに、しっかりと理解して頂きたいのですが。
また行政を訴えるとはけしからん、と私に直接言ってこられる議員の方もいます。
確かに裁判で訴えるなんてことは大業なことです。
それでも、議会人として議会での追及が行政側からかわされてしまうなら、
裁判という手に打ってでも、
しっかりと行政運営を追求するような重要な案件はあるのです。
今回のように★安曇野の田園風景を守るために★
むしろ、そこをやろうとしない議員・議会に、
市政をチェックする議会人としての矜持は無いのかと問いたい。
少し強い口調になりました。
むろん、我々が絶対正しいとも思いません。
それでも二元代表制の一翼を担う議会人である限り、
市長や市行政に遠慮したり、忖度したりして、手を緩めるということはできない。
そう思っています。
それを守りたい、守ってもらいたいという方は、ぜひ以下を読んでください。
安曇野の水を守ろうと北小倉のゴミ処理施設問題で、
地域住民の方たちが行政や業者との裁判になっていることはみなさんご存知かと思います。
私も地元のみなさんと共に一部の裁判で原告団になっています。
で、実は私はもう1つ裁判の原告になっていました。
それが「安曇野市の公金支出返金訴訟」です。
しかもこの裁判は本人訴訟と言って、原告の代理人となるプロの弁護士さんをたてずに、
小林純子議員と僕の2人が法廷に立って、
被告側のプロの弁護士さん、そして裁判官と渡り合っていました。
どこまで渡り合えていたかは別ですが。
なぜ裁判まで起こしたかということなのですが、それには相応の理由があったからです。
その理由を示すために、この案件の内容を書きますが、とても複雑です。
端的に書くと(なかなか端的に書けないのですが)、
穂高の民間業者の所有地に置かれていた機関車(安曇野市所有)を、
事業者の事情(太陽光発電施設の建設計画)で移設した。
この移設先の土地は元々は農地で、事業者の駐車場として農地転用申請を出していた。
しかしその転用が完了していない(駐車場になっていない)のに、それを市が認めてしまい、
安曇野市の公金を使って違法に移設したというもの。
このようなことが起きてしまうのはなぜなのか。
市行政の故意または重大な過失によるものなか、
あるいは事業者と市職員らが共謀して、移設に何ら法的な問題はないとしたのか。
いずれにせよ、違法状態による市の公金支出は市(市民)に損害が生じているので
その移設費用等を返還せよ、と訴えたのです。
これでも分かりにくいですかね。
さらに平たく言うと、
このような違法の農地転用をしてしまうと、
★安曇野の田園風景は守られなくなってしまう★。
もっともな理由で農地転用の申請を出しておいて、
それをダミー(見せかけ)にして、本チャンのものへと変更申請する。
今回なら、駐車場にする、と言って申請を出しておいて、
本来なら認められない機関車展示場にしているのです。
(機関車がもともとあったところを太陽光発電施設にしたかった)。
こういったことを認めてしまうと、
田園風景を基調とする我が安曇野市の根幹を揺るがす事態になります。
そこで、そんなおかしなことをしてはダメだよ、と行政を追求したわけです。
もちろん初っ端(しょっぱな)から裁判に訴えたわけではありません。
行政窓口に通い、状況を確認し、こちらの指摘を伝えました。
当事者である行政を直接追及しても、向き合い方が温(ぬる)いので、
住民監査請求という行政とは別機関の監査委員会にその調査を依頼しました。
※住民監査請求とは
行政の行為がおかしい場合、
住民は監査委員会という市の機関にそれを監査してもらうことができます。
結局、監査結果は問題なしとされたので、
次の手段として裁判所に判断を仰ぐ、住民訴訟という手段に踏み切ったわけです。
繰り返しになりますが、なぜそこまでやったかというと、
それは★安曇野の田園風景を守りたいから★です。
7回にわたる公判に僕と純子さんは出かけ、プロの弁護士や裁判官を相手に、
しどろもどろになりながらもなんとか公判を進めてきました。
そして3月8日に判決。
判決結果は原告敗訴。僕らは負けたのです。
ところが、判決文をよくよく読んでみると、
「市は自ら本件土地において農地法違反の状態を生じさせたものというべきである。
そうすると,市が進めた本件機関車の本件土地への移設事業は
法令や規則に従ってその事務を誠実に管理し
,執行すべき義務を負う地方公共団体の行為として,違法の評価を免れない。」
「実態とは異なる事業計画に基づき本件転用変更申請を行い、
これに対する承認を得ていることから、
民間業者の得た本件転用変更申請に対する承認には
手続的瑕疵があるといわざるを得ない。」
「農地法違反の状態を生じさせているものとして違法の評価を免れない。」
「本件賃貸借契約を締結して本件機関車を本件土地に設置していることは
農地法違反の状態を生じさせているものである。」
など、市の違法性や瑕疵を指摘する箇所が判決文に6カ所もあるのです。
こういった指摘をしていながら、なぜ被告側(市側)が勝ったのかというと、
裁判所は、
「本件機関車の移設事業は、地元の要望の公益性を有する事業であり、
移設事業自体は違法ではない。移設費用の安くて済んだ。
(中略)
農地法に違反するものであるとしても、
これは市の事業を進めるためにされたものであり、
実際に市の利益に適ったと言えるので、違法な行為とまでは言えない。」
と言っているのです。
簡単に言うと、農地法の違法性はあるが、市の事業自体は公益性があり、
地元の要望もあり、機関車の移設費用も最小限で済んだのでいいでしょう、ということです。
とんでもない判断です。
新市役所の当初の建設予定地も農地法の関係でNGで、今のところになりました。
田園環境区域に見られる市の土地利用条例の厳しい制約も、
安曇野市の田園風景を守るためです。
こういったことが反故にされてしまいます。
私と純子さんは相談して、判決を不服として控訴はしませんでした。
問題のやり取りを裁判所というブラックボックス(我々の手が届かない、という意味)に委ねるより、
今回の判決文で指摘された市の瑕疵や違法性を
直接的に議会の場で追及していくことの方が良いと考えたからです。
裁判判決文にある違法性や瑕疵についての指摘を行政がどう受け止め反省して、
行政運営につなげていくかをしっかりと見ようと思ったのです。
で、本日5月15日に本裁判結果に対する行政の説明がありました。
そこでの行政側の説明は、
「瑕疵や違法性は無かった。」、「市の方に故意や過失は無かった。」
というもので、根本的な部分での反省がありませんでした。
特に農地転用の裁判所の判断について、安曇野市が今後このような運営をすれば、
いくらでも農地転用がなされてしまい、
まさに安曇野の田園風景は失われてしまうことに対しての危機感を行政側からは感じませんでした。
行政がこのような有様なのですが、ではその行政をチェックする議会・議員はどうだったか。
今日の全員協議会では、行政側の説明を受けて、
中には松枝議員のように事の重大さを理解して、
「行政は第三者委員会のようなものでしっかりと検証する必要があるのではないか。」
という発言をする方もいました。
一方で内川議員のように、
「議会で移設費用の予算案を認める議決をしておいて、
それを覆すような行政裁判をするのは許されない。
2人の議員のパフォーマンスとしか映らない。
敗訴した以上、2人の原告議員は責任を負わなければならない。」
というような内容を議員通信で書かれる方もいました。
個人の議員通信なので何を書いても自由なのですが、
私のことが書かれている以上、キッチリとここで反論しなければなりません。
そのことも今日ご本人にお伝えしました。
これはまさに表層のみを捉えた浅い理解での発言だと思います。
安曇野の農地が切り崩されていくことにもつながる判決であり、
行政の態度であることがお分かりにならない。
気概がある方だけに、しっかりと理解して頂きたいのですが。
また行政を訴えるとはけしからん、と私に直接言ってこられる議員の方もいます。
確かに裁判で訴えるなんてことは大業なことです。
それでも、議会人として議会での追及が行政側からかわされてしまうなら、
裁判という手に打ってでも、
しっかりと行政運営を追求するような重要な案件はあるのです。
今回のように★安曇野の田園風景を守るために★
むしろ、そこをやろうとしない議員・議会に、
市政をチェックする議会人としての矜持は無いのかと問いたい。
少し強い口調になりました。
むろん、我々が絶対正しいとも思いません。
それでも二元代表制の一翼を担う議会人である限り、
市長や市行政に遠慮したり、忖度したりして、手を緩めるということはできない。
そう思っています。
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