北小倉ゴミ処理施設の裁判判決とその後
- 2018/04/07
- 23:10
これまで再三お知らせしてきた三郷小倉の廃棄物処理施設問題。
3月30日に一般廃棄物処理業の操業許可の取り消しを安曇野市に求めた行政裁判の判決が出ました。
以下の文章、長いけど頑張って読んでもらえると嬉しいです。
裁判結果について。
結論を言うと、長野地方裁判所の判断は「請求の棄却」。
私たち原告団の「許可を取り消せ」という主張・請求は認められませんでした。
こう書くと、「裁判は負けたんだ・・・。」と思う人も多いと思います。
確かにこちらの望んだ判決結果=行政の違法性が認められ許可が取り消される、ではありませんでした。
しかし139ページに及ぶ判決文を読んでみると、
私たちが訴えてきた、
「騒音や粉塵、汚水流出などにより被害がある。或いは被害を受ける可能性がある。」
ということに関しては否定していませんでした。
これは大きな成果です。
裁判所が被害があることを認めたわけです。
では被害があることを認めているのに、なぜこのような判決が出たのか。
それは当施設の一般廃棄物の処理量(木材や廃材のチップ化処理)に関係します。
市から許可を受けて以来、この施設では一般廃棄物の処理量がほとんどありませんでした。
そのため裁判所は、
「一般廃棄物の処理に伴う騒音や粉塵、汚水などによる被害はないでしょう、よって市は問題無し。」
としているのです。
ちなみにこの施設は実際は産業廃棄物としての木材や建築廃材のチップ化処理をしています。
実際は該当施設のチップ化処理により、騒音や粉塵や汚水は出ているわけです。
判決ではそのこと(被害があること)自体を否定しておらず、被害性を認めています。
しかし産業廃棄物の許可権者は長野県であり、
今回の一般廃棄物に関する安曇野市への裁判では、産廃分が裁判の争点にはなっていないのです。
さらに判決は被害があることは認めても、
「健康又は生活環境に係る著しい被害を生じさせるものではない」としました。
ここで問題になってくるのは、
「著しい被害」とは何か?ということです。
何をもって「著しい被害」とするのかについては記述がないのです。
原告団長で施設の隣に住み、
日頃騒音や粉じんなどの実害を受けている松澤さんは、
「人が亡くなったりしなければ問題にならないのか?」と憤られています。
しかし被害が出てからでは取り返しがつきません。
地下水の汚染が分かった時ではもう遅いのです。
私たちの代理人弁護士も言っていましたが、
今回の判決は反論するには突っ込みどころ満載です。
判決文を読み込むと、私たちもそう思います。
現在、県を訴えている産廃処理業の許可取消し訴訟や、
民事訴訟での事業者の操業禁止の訴訟も併せて進んでおり、
それらの進行とも合わせて、今回の判決への対応を考えなければなりません。
そして判決が出て4日後に原告団の臨時総会を開きました。
地元小倉の住人の方たちを中心に、
安曇野の自然と水を守りたいと思った市内外の原告団から80名が集まり、話し合いを持ちました。
その中でに上述のような意見・解説がされました。
中でも僕が一番印象に残り、心が動かされたのは、
北小倉で果樹農家を営む塚田豊久さんの発言でした。
豊久さんはご存知、望三郎後援会の後援会長をしてくれています。
総会での意見交換の終盤に、
最前列に座っていた豊久さんが立ち上がって振り返り、こう言ったのです。
「私は62歳です。ここに来ておられる原告のみなさんは、私よりも年上の先輩方が多い。
そしてこの会場の一番後ろには原告団には名を連ねてないが、
この安曇野に残り、または戻ってきて果樹を作っている若い連中が座ってます。
先輩方にお願いします。どうかこの若い連中が安心して農業を続けられるように、
この裁判を続けていきましょう。」と。
会場の一番後ろには若い農業者たちの姿がありました。
彼らはどんな思いで豊久さんの言葉を聴いたでしょう。
この問題が発生して14年、裁判が始まって9年。
彼らも当初は中学生だった。
そんな彼らも大人になり、この地で人生を送ることを選択した。
そんな月日が流れて、ようやく最初の裁判の判決が出たのです。
地元の方たちはこの間、多くの時間とお金、労力をこの問題につぎ込んでいます。
この故郷を自分たちが引き継いでもらったように、
次の世代の人たちが安心して暮らせるように、安心して農業ができるように。
そう心底思えるからこそ、ここまで頑張って来れたのでしょう。
総会では満場一致で東京高裁への控訴が決まりました。
僕も引き続き、控訴審の原告団に加わろうと思います。
より高等の裁判の場において、第一審が覆り、適正な判決が出されるために。
※ご存知のように日本の裁判制度は三審制。
地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所と、判決が不服なら控訴・上告ができるのです。
逆に控訴しなければ、判決が確定してしまいます。
以下、費用のカンパについて書いております。
控訴審を行うためには裁判費用(弁護士さんへの謝礼や東京高裁へ行く際の交通費など)が必要です。
原告団は第一審に参加した人しかなれず、
引き続き原告団になる方は8千円の裁判費用を負担します。
この問題について、ぜひ関心を持ち続けて頂くとともに、可能な方は裁判費用のカンパをお願いします。
●カンパ振込先
【ゆうちょ銀行】
口座番号:00570-0-100508
名称:一般廃棄物処理業許可取消訴訟原告団
他行から振込む場合、
店名:059 種目:当座 口座番号:0100508 でお願いします。
また振込された方は、増田までご一報いただければ幸いです。
この問題の経過をメール等でお知らせします。
3月30日に一般廃棄物処理業の操業許可の取り消しを安曇野市に求めた行政裁判の判決が出ました。
以下の文章、長いけど頑張って読んでもらえると嬉しいです。
裁判結果について。
結論を言うと、長野地方裁判所の判断は「請求の棄却」。
私たち原告団の「許可を取り消せ」という主張・請求は認められませんでした。
こう書くと、「裁判は負けたんだ・・・。」と思う人も多いと思います。
確かにこちらの望んだ判決結果=行政の違法性が認められ許可が取り消される、ではありませんでした。
しかし139ページに及ぶ判決文を読んでみると、
私たちが訴えてきた、
「騒音や粉塵、汚水流出などにより被害がある。或いは被害を受ける可能性がある。」
ということに関しては否定していませんでした。
これは大きな成果です。
裁判所が被害があることを認めたわけです。
では被害があることを認めているのに、なぜこのような判決が出たのか。
それは当施設の一般廃棄物の処理量(木材や廃材のチップ化処理)に関係します。
市から許可を受けて以来、この施設では一般廃棄物の処理量がほとんどありませんでした。
そのため裁判所は、
「一般廃棄物の処理に伴う騒音や粉塵、汚水などによる被害はないでしょう、よって市は問題無し。」
としているのです。
ちなみにこの施設は実際は産業廃棄物としての木材や建築廃材のチップ化処理をしています。
実際は該当施設のチップ化処理により、騒音や粉塵や汚水は出ているわけです。
判決ではそのこと(被害があること)自体を否定しておらず、被害性を認めています。
しかし産業廃棄物の許可権者は長野県であり、
今回の一般廃棄物に関する安曇野市への裁判では、産廃分が裁判の争点にはなっていないのです。
さらに判決は被害があることは認めても、
「健康又は生活環境に係る著しい被害を生じさせるものではない」としました。
ここで問題になってくるのは、
「著しい被害」とは何か?ということです。
何をもって「著しい被害」とするのかについては記述がないのです。
原告団長で施設の隣に住み、
日頃騒音や粉じんなどの実害を受けている松澤さんは、
「人が亡くなったりしなければ問題にならないのか?」と憤られています。
しかし被害が出てからでは取り返しがつきません。
地下水の汚染が分かった時ではもう遅いのです。
私たちの代理人弁護士も言っていましたが、
今回の判決は反論するには突っ込みどころ満載です。
判決文を読み込むと、私たちもそう思います。
現在、県を訴えている産廃処理業の許可取消し訴訟や、
民事訴訟での事業者の操業禁止の訴訟も併せて進んでおり、
それらの進行とも合わせて、今回の判決への対応を考えなければなりません。
そして判決が出て4日後に原告団の臨時総会を開きました。
地元小倉の住人の方たちを中心に、
安曇野の自然と水を守りたいと思った市内外の原告団から80名が集まり、話し合いを持ちました。
その中でに上述のような意見・解説がされました。
中でも僕が一番印象に残り、心が動かされたのは、
北小倉で果樹農家を営む塚田豊久さんの発言でした。
豊久さんはご存知、望三郎後援会の後援会長をしてくれています。
総会での意見交換の終盤に、
最前列に座っていた豊久さんが立ち上がって振り返り、こう言ったのです。
「私は62歳です。ここに来ておられる原告のみなさんは、私よりも年上の先輩方が多い。
そしてこの会場の一番後ろには原告団には名を連ねてないが、
この安曇野に残り、または戻ってきて果樹を作っている若い連中が座ってます。
先輩方にお願いします。どうかこの若い連中が安心して農業を続けられるように、
この裁判を続けていきましょう。」と。
会場の一番後ろには若い農業者たちの姿がありました。
彼らはどんな思いで豊久さんの言葉を聴いたでしょう。
この問題が発生して14年、裁判が始まって9年。
彼らも当初は中学生だった。
そんな彼らも大人になり、この地で人生を送ることを選択した。
そんな月日が流れて、ようやく最初の裁判の判決が出たのです。
地元の方たちはこの間、多くの時間とお金、労力をこの問題につぎ込んでいます。
この故郷を自分たちが引き継いでもらったように、
次の世代の人たちが安心して暮らせるように、安心して農業ができるように。
そう心底思えるからこそ、ここまで頑張って来れたのでしょう。
総会では満場一致で東京高裁への控訴が決まりました。
僕も引き続き、控訴審の原告団に加わろうと思います。
より高等の裁判の場において、第一審が覆り、適正な判決が出されるために。
※ご存知のように日本の裁判制度は三審制。
地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所と、判決が不服なら控訴・上告ができるのです。
逆に控訴しなければ、判決が確定してしまいます。
以下、費用のカンパについて書いております。
控訴審を行うためには裁判費用(弁護士さんへの謝礼や東京高裁へ行く際の交通費など)が必要です。
原告団は第一審に参加した人しかなれず、
引き続き原告団になる方は8千円の裁判費用を負担します。
この問題について、ぜひ関心を持ち続けて頂くとともに、可能な方は裁判費用のカンパをお願いします。
●カンパ振込先
【ゆうちょ銀行】
口座番号:00570-0-100508
名称:一般廃棄物処理業許可取消訴訟原告団
他行から振込む場合、
店名:059 種目:当座 口座番号:0100508 でお願いします。
また振込された方は、増田までご一報いただければ幸いです。
この問題の経過をメール等でお知らせします。
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