3月定例会中です。
今日までの2日間、行政側から新年度予算案の説明が行われました。
この予算案が今回の定例会の最重要の議案になります。
今回の記事は、予算案解説と主張付きです。
とても長いですが、ぜひ頑張って読んでくださいね。
安曇野市がどれだけお金を手に入れて(歳入)、
それを新年度にどのようなことにどれだけお金を使うのか(歳出)。
そのことで私たちの暮らしがどうよくなっていくのか?
子育ては、介護は、教育は、仕事は、環境は、どうなっていくのか?
それが示されているのが予算案です。
これが議会で議決されれば、行政は4月からこの予算を粛々と執行していきます。
予算案概要
http://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/25127.pdf事業別概要説明書(具体的に事業別に詳しい説明)
http://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/25173.pdf平成29年度予算の総額は約413億円。4年連続で400億円越えの大型予算です。
413億円入ってきて、413億円出ていくということ。
では413億円はどこからくるの?という、お金の入り。(=歳入)
・市税 約115億(27.8%)
市に直接収められる税金。我々個人や法人の市民税、固定資産税、軽自動車税、たばこ税など
・国からの交付税 約100億円(24.2%)
国に集められた税金を地方自治体に配分。
・国や県の支出金 約64億(15.4%)
ある目的に対して国や県が負担や補助をしてくれる使い道のはっきりしたもの
・市債 約54億(13.0%)
市がする借金で将来にわたって返していく
・繰入金 約25億円(6.0%)
基金(=家庭で言えば貯蓄)の取り崩し
・その他 55億円
( )の%は全体に対する割合です。
市の独自のお金は主に市税。これが3割無いのです。
逆に国や県に依存するお金は4割以上。
そしてさらに借金と貯金の取り崩しで2割ほど。
これが安曇野市のお金の入り方です。
ちなみに国からの交付金をもらっていない自治体って全国にあるんですよ。少ないけど。
原発のある六ヶ所村とかトヨタのある豊田市とか。長野県なら軽井沢町。
国に頼らなくても自分たちでやっていけるという自治体です。
※正確に言うと、原発やトヨタに頼ってるんだけどね。
安曇野市は頼らないとやっていけない自治体ってことです。
で、今、国からの交付税が減らされています。国もお金がないから。
安曇野市の場合、予算案で昨年より約9億円減っています。
ちなみに29年度末での市債残高、つまり借金の残高は約433億円の見込みになります。
一方、基金(貯金)残高は29年度末で約67億円の見込み。
市債残高は昨年度と比べて約6億円の減、基金残高は約2億円ほど増えています。
では次に何に使うのか。(=歳出)
主だったところを挙げてみると、
●ハード事業(建設など施設を作る事業)
・しゃくなげの湯の周辺整備(約3億円)
昨年10月にできたしゃくなげの湯。本体で約10億かかっていますが、
新年度は周辺整備をやります。
・三郷交流学習センターの建設(約6億円)
昨年施設の解体工事をしましたが、これが既に6億。
新年度は図書館つきの施設の建設工事で約6億かかります。
29年度末に開館予定です。
・三郷北部などの3保育園の建て替え(約11億円)
・南部公園の総合体育館建設関連(約6600万)
基本計画が出されましたが、次の段階に入り基本設計の作成と測量や地質調査。
実施設計、建設費用の38億円はまだ先です。
・その他にも三郷文化公園体育館の大規模改修(約2億)や
堀金公民館や図書館の改修工事(約3億)があります。
これら建設事業費は全部で約62億。昨年より約2割減です。
●ソフト事業
子育て世代向けには、
・産後ケア事業 352万円
産後間もない母親が病院などで宿泊や母乳相談をする費用の補助。
・母子保健のワンストップ窓口を市役所に設置 352万円
・コミュニティスクール事業 842万円
学校、地域、家庭が一体となり、開かれた学校づくりを進め、子どもたちの「生きる力」を育む。
シニア向けには
・70歳以上の人に日帰り入浴施設の300円の割引券を24枚分 3960万円
※但し申請しないともらえません。
その他、
・緊急告知機能付き防災ラジオの購入補助等 1204万円
屋外放送が聞こえづらく大不評だったことへの対応。
・オーストリアのカヌー連盟役員の視察受け入れ 206万円
安曇野市が東京五輪でホストタウンになります。
・荒廃ワサビ田の再生 200万円
生産量が約10年でほぼ半減しているワサビの生産振興
・Wi-Fi環境整備 930万円
穂高駅から大王わさび周辺まで整備
・海外プロモーション事業 1500万円
観光協会、商工会、JAあづみ等で組織する海外プロモーション協議会への負担金など。
海外でのAZUMINOの情報発信、インバウンドと農産物の海外輸出。
などなどです。
さてここからが主張。
改めて書くと、ハード事業とソフト事業では費用の桁が違いますね。2ケタぐらい。
必要な施設は作らなければならないし、ムダな施設は絶対作っちゃいけません。
それが分かり易ければいいのだけど、
作っておいた方がいいんじゃない、と言うぐらいで作ったり、
どうせ作るなら大きいものを、いいものを作ろう、という考え方。
これがくせもので、割と自分も含めたみんなの中にあって、いいやとなってしまう。
作ってしまう。結果、他の事業にしわ寄せがいきます。歳入のところで分かったかと思いますが、人口減、税収減、交付金減。
入ってくるお金はどんどん減っていきます。
体育館も整備費用38億円が5億円でも減じられれば、どれだけのソフト事業がやれるでしょう。
逆に38億円使うことで、ソフト事業が削られてしまうわけです。一つ事実を挙げましょう。大事な事実ですよ。
今回の議会で28年度の補正予算で、
「保育園臨時嘱託 2703万1千円の減額」というのがありました。
これは、当初予算に計上していた保育士さんが応募しても集まらなかったために、
その分の賃金が浮いてしまって予算から減額されたというものでした。
その数11名分。
安曇野の公立保育園18園の中で、当初の予定より11名も足りてないのです。
担任を持たずにフリーの立場で余裕をもって各クラスの子どもたちを
見ていくはずだった主任さんが担任を持ったり、
他との兼任でなんとか現場はこの一年の保育を乗り切ろうとしているのです。
なぜ保育士が集まらないのか。
これは安曇野だけでなく、松本も塩尻もそう。全国的に保育士不足なのです。
有資格者はいるのに実際に仕事に就く人が少ないのです。
その理由は給料が安いから。そして安い割には仕事が大変だから。
安曇野市の場合、正規採用の保育士が3割、残りの7割は非正規職員で、
担任をもって責任ある役割をしても、非正規ということで給料はその分安くなるわけです。
正規雇用が増えれば、ここまでの状況にはならないでしょう。
安曇野市の保育は、そんなたくさんの非正規も含めた保育士たちの頑張りで、
今ギリギリのところで踏ん張っていられるのです。それが実情です。
大きな箱モノを作れば、その分しわ寄せを食う部署・人が必ず出てくるわけです。それぞれの言い分があるので、何が正解なのかは無いのかもしれません。
施設はできるだけコンパクトなものにして、その分を福祉・教育などのソフト部分に回したい。
正規採用の保育士を増やしたい。
市政のキモは限られた財政の中で、どのようにお金を配分し使っていくか。
それで市民のサービスを高められるか。この舵取りは本当に難しい。
でも、現場の保育士さんの声を聴くと、やはり大きな箱モノではない、と思うのです。
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