安曇野市は今、「自治基本条例」という市の法律を作ろうとしています。
これは言葉の通り、安曇野市における自治の基本をまとめたもので、
市民、議会、行政の役割や責務を明確化し、
三者の関係や市民相互の関係などをルール化することが目的です。市長も
「安曇野市の最高規範になる」と言っています。
この条例づくりに向けての市民ワークショップが開催されました。
安曇野市の各団体の代表者、また公募に応募した安曇野のまちづくりに
主体的に関わっていこうとする方たち、そして市職員が集まりました。
この中に僕も議員の立場で公募に応募し、参加しました。
ところが、この参加について一悶着があったのです。
まず1月26日の議会の全員協議会の場で。
公明党の議員から、
「今回のWSに議員が参加することを知った市民から自分のところに問い合わせがあった。
議員が参加することで、緊張して思ったように意見が言えない、とのことだ。
議員の参加について考えたい。」
という発言がありました。
それに続いて、
「自治基本条例は素案ができれば議会にも報告があり議会として検討するし、
最終的には議決を経なければならないのだから、議会として十分議論できる。
そんな中で市民が議論する場に議員が出て行くのは良くない。」
「参加しようとしている議員は、WSに参加するのなら、
今度はその案が議会に上がってきたときには、
(恣意的な部分が足されるので)議論に加わるべきではない。
議決の際も除斥するべきだ。
そのような覚悟をもってWSに参加しようとしているのか?」
という意見も出るまでに。
全協での意見の大勢は、参加はよろしくない、でした。
そこで僕はなぜ今回のWSに参加しようとしているのかを発言しました。
以下は全協の場で全て言えたわけではありませんが、今回の参加理由です。
・市の主催する審議会などは議員は対象にならないという規定が明文化されているが、
今回はそれではなく自由に議論をし合うWSである。
行政に確認しても議員は対象外とはしていないとのことだった。
・市の最高規範である自治基本条例を作る。
この条例は、市民、議会、行政の役割や責務を明確化し、
三者の関係や市民相互の関係などをルール化することが目的。
その中に当事者の一翼を担う議会が加わらない方がしっかりとした議論ができない。 議会の役割や責務や他との関係性など、議員として考え発言する場合も多々あるだろう。
・増田望三郎議員が是が非でも参加したいというわけではない。
上記の理由から、議長副議長など議会の代表である然るべき方が参加した方がよい。
ところが参加申込の前に、議長に確認してもその予定はないとのこと。
商工会や区長など、市の各種団体の代表が参加するので、当然その中に議会枠があるのかと思えば、
行政側に確認しても、このWSに議会枠を取ってはいないとのこと。
・以上のような状況の中で、自分が議員として参加しようと思った。
もちろん議会の代表としてではなく、一市会議員としての参加である。
・一番思っているのはコレ。
同僚議員が言っているような、市民が議員・議会に距離を感じている。
ならば議員ももっと市民の場の中に入っていって、同じ立場で胸襟を開き議論をし合うべき。
市民が議員を特別視することなく、また議員も自らを特別視することなく、
自由闊達に議論し合う関係になっていきたい。
そのために実際の場で時間と議論を共有することが大きい。 そんな思いでした。
全員協議会では、議長が「常識をもって判断してもらいたい。」と言うような内容で締められました。
議会の常識と言うのは、市民の場に議員が出しゃばって参加するべきではない、と言うことなのでしょう。
議長やその他の同僚議員の言いも分らなくもないのですが、
それでも
市民、行政、議会が対等で、そして気兼ねなくものを言い合える関係になること。
実際にそのような時間や議論の場を共有することの大きさ。
そして何よりも自治基本条例と言う3者それぞれの役割や責任と関係性を議論して導き出す場に、
議員も仲間に入れてもらうことは大切だと思い、WSに参加しようと言う思いは変えませんでした。ここまでが第1部。
そして第2部。
第1回のワークショップの開催です。参加者100名の場。
松本大学の行政史に詳しい木村先生の基調講演の後に、
参加者から意見が出ました。
「議員は議会で議論する場があるのだから、この場にいるのはおかしい。
排除した方がいい。それについては先生はどうお考えか。」
木村先生は以下のような返答。
「議員が大人数参加して、恣意的に方向性を決めようということで無いなら、
議員もこの自治条例の趣旨に向かって一緒に議論すればいい。
決まりはないので決めたらいいが、まずは幅広く持ってやっていけばいいのでは。」WSを主催している行政側も
「議員の参加を要望していないが、排除する、しないは検討しない。」
とのこと。
僕は、先例と違う行動をしているので議会の中から批判が出るのは、
まあそうだろうなあ、と思っていたのですが、WSに参加した市民の中からも
全く同様の意見が出ることに新鮮に驚きました。
「へ~市民の中にもそう考える人がいるんだ~。」と。
この感想を参加していた知り合いに話すと
「発言していた人は元議員だから、そんなふうに思うのでは。」とのこと。
またある人は
「どこぞの議員から発言を頼まれたんじゃないの?」とも。
まあそれは実際のところ分かりません。
僕としては、このような場に
議員が参加すべきか、すべきではないか、
と言う議論はとても大事なテーマで、これについて深い議論をすれば、
議員と市民の関係性の本質が見えてくるのではないかと思っています。その意味では全協でも議論できたこと、
また今日のWSでもこのような投げかけが全体にあったことが
よかったなあと思うわけです。
どちらが正解と言うのもこれについては無さそう。
もちろん僕も自分が正しいと思って参加しているわけではありません。
人口減や財政状況のひっ迫など、益々厳しくなっていく地方において、
それに対応できるしなやかさと新たな時代の地方自治を創り出していくための規範づくりを、
議会も市民の皆さんと大いに議論し、導いていきたい、そんな思いからの参加なわけです。臆することなく参加し、発言していきたいと思います。
みなさんはどう思いますか?
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