約1か月に及ぶ定例会が26日に終わりました。
最終日は、議員の陣中見舞いの問題が出され、
その議論をした全協が終了したのが夜の7時半でした。
先にお伝えした集団的自衛権の請願についての討論では、
僕も3度にわたり意見をし、自分の考えを出し切って、最後は疲れた~という一日でした。
議会最終日の議論で、みなさんに知ってもらいたいこと。
まず一つめ。集団的自衛権に関する請願について。
これはどういう請願だったかと言うと、
「『憲法解釈を変更して集団自衛権を認めるのは良くない。これまでの政府見解を堅持すべき。』
という内容の意見書を、国に提出しなさい。」
というものでした。
これについて、賛成・反対の意見を議員が交互に発言していきました。
僕も先の
記事「6月定例会報告 その2 集団的自衛権の憲法解釈変更」に書いた内容で賛成発言しました。
今回は国政においても公明党が当初は解釈変更について反対をしていましたが、
この会期中に自民党案に妥協し擦り寄ることになりました。
安曇野市議会でも3人の公明党議員と、大会派に属している人たちの中でも
賛成の方がいたので、採決は拮抗する状況でした。
反対意見に収れんされた感のある会派の中にも、
今回は堂々と自分の賛成意見を述べる議員もいましたし、
一方、賛成の立場であるが発言はしないという議員もいました。
公明党の方も、所管の委員会ではハッキリと賛成意見を言っていたのに、
本会議では意見を出さなかったのは残念でした。
結果、
賛成10(松澤、井出、猪狩、藤原正三、藤原陽子、林、黒岩、荻原、小林、増田)
反対14(松枝、坂内、一志、宮澤、竹内、山田、内川、小松芳樹、小松洋一郎、中村、召田、平林明、平林徳子、浜)
※敬称略
で解釈変更反対の請願書は否決、
また同内容の陳情や新たに出された解釈変更反対の議員案も否決されました。
ところがここで僕にとって驚くべきことが起こりました。公明党の小松芳樹議員他から、新たな請願書が出されたのです。
その名も
「集団的自衛権の行使容認に関して、十分な国民的議論と国会での慎重審議を求める意見書」。
その意見書案にはこうあります。
「集団的自衛権の行使容認については、我が国の安全保障及び国民生活に関わる重要な問題であり、
今日の国際情勢の下で、恒久平和の維持という観点から、幅広い議論が必要と考えます。
よって、国におかれては、集団的自衛権の行使容認に関して、十分な国民的議論と国会等での
慎重審議を尽くされるよう強く要請し・・・」
一見何も問題が無いように思える意見書ですが、
この文面には、今回の集団的自衛権の解釈変更の最大の問題である、
「立憲主義」を無視しして進めようとしていることについて一切触れられていません。最初に出された請願での長い時間をかけての討論で、
僕も含め何人もの賛成議員が、集団的自衛権が必要かどうかの是非の前に、
それが憲法解釈の変更によって認められてしまうことへの危機を述べていました。
立憲主義を無視した国政について、その観点で異議を唱えず認めてしまうことは、
自分たち議会人の足元を崩すことにもなると。
その議論の際には、明確な反論をせずに請願を否決した方たちが、
今度は「この問題、しっかりと議論してください。」という意見書を出すのです。
一体どっちなんだ?
何を訴えたくて先ほどは反対し、今度は何を訴えたくて新たな意見書を出すのか?そのことが全く分かりませんでした。
僕は中身のないこの意見書には反対。しかし結果は賛成多数で可決。
国に対して何も意見を出さないことは安曇野市議会のメンツに関わるからなのでしょうか。
市議会として、形ばかりの意見書を出すことになりました。今日6月30日付の信濃毎日新聞35面を読んでみてください。
「市町村議会の声 届いていますか?」の見出しで、
各市町村議会が出した集団的自衛権についての解釈変更反対や慎重審議の意見書を、
国会議員が全然見ていない、という内容の記事が載っていました。
また自民党の高村副総裁が、これら意見書を出してくる地方議会について、
「地方議会も日本人であれば慎重に勉強してほしい。」と注文をつけました。
これを市民に最も近いところにある地方議会の意見を無視しているという批判記事が書かれています。
これらの記事を読むと、地方議会が国に対して意見を出し、
存在感を発揮しているように思えます。
しかし、では、どれだけの中身がある意見書を各地方議会が出しているのか。
少なくとも我が安曇野議会についてはとことん議論して練り上げた内容のものではありません。自立した議員による自立した議会。
まだまだ安曇野市議会の夜明けは遠いです。
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