なかなかゆっくりと自分の考えを書くことができず、間が空いてしまいました。
6月の定例会も各委員会が終わり、明後日で最終日・議案議決となります。
これから数回にわたって、今の市政の案件や課題について、
議会での議論や僕の所感をダイジェストでお伝えしたいと思います。
まず松枯れの有人・無人ヘリ空中散布問題について。
安曇野市の有人・無人ヘリによる農薬空中散布が6月19日の早朝に実施されました。
これに対して、市内に暮らす子育て中の親たちが中心になって、
散布反対の署名活動を行い、市に提出しました。
空中散布は止まりませんでしたが、
反対の意見を持つ方たちが、
見過ごしたままにせず政治参加したこと、そしてそれが500名以上の署名となり、
新聞等でも取り上げられ波紋を広げたことは大きいと思います。市の方でも市内外に散布を反対する一定数の人たちがいたことを認識できたわけです。
環境経済委員会の中でも僕も、
「市民の署名は決して単なる反対署名ではなく、やれることがあれば市民としても行動していく、
ということを示した前向きな署名であった。」
ということを伝えました。
一方、明科に住む市民の方からは、署名をした人たちについて、
「 本当に当該地区の中長期的な対策に500余人が永続的に参加してくれるので しょうか。」という投げかけを頂きました。
これはとても大きな投げかけです。
今回の署名も、また
僕自身も議会の中で、空中散布を辞める代わりに、
市民ボランティアによって樹幹注入などの作業を行う、そんな動きを作れないか、
ということを言ってきました。しかし言うは易し、行うは難し。
どれぐらいの人たちが、この潮沢地区のことを思い、
また安曇野の地域のことを思い、活動を継続していけるのか。
そもそもまだ何も起こしていない。起こしていけるのか。大町に暮らす友人の林業家は、
「松枯れの伐倒処理の仕事は様々な山仕事のなかでも重労働な部類に入ります。」
と言います。
議会でも伐倒燻蒸の作業現場を視察しましたが、
3時間かかってようやく2本の木を切って処理していました。
山仕事はそれほど大変な労働なわけです。
しかし40年も続く素晴らしい実践例がお隣の富山県にあります。
富山県では森林の下草除草のために農薬の空中散布をしていましたが、
それを辞めさせる代わりに、
「草刈り十字軍」という市民ボランティアの活動が行われ、
今年で41年目。県の予算もついています。
毎年夏になると里山の再生に力を出そうと、
全国各地からたくさんの若い世代が集まってきます。
僕も草刈り十字軍のような活動をイメージして、
議員としても、これまでの自分の活動の切り口からも、
里山再生の活動を起こしていきたいと思っています。なお、今回の散布についてもいくつかの疑問や不安な点があります。
今回空中散布で使用されたネオニコチノイド系の農薬は
普通に農地でも使用されているものですが、
りんご農家さんの友人に聞いたところ、
「畑で散布するネオニコチノイド系の農薬の希釈濃度は3000倍~5000倍で使用する。
一方、空中散布の濃度は7.5倍。これは虫だけでなく、人も死ぬんじゃない?」とのことでした。
約150リットルの液が3分ほどの時間で5haの面積に撒かれました。
そんな濃度のものが撒かれれば、
松枯れの原因とされるマツノマダラカミキリは死ぬでしょうが、
それ以外のものもほとんどが死滅してしまうのではないでしょうか。
市は生態系調査も実施すると言っていますが、
散布後の調査結果について注目したいと思います。
また長野県の空中散布の実施基準の中に、散布の可否の判断の前の段階で、
化学物質過敏症の方々を含め、市民に事前に聴き取り調査など、
いわゆるリスクコミニュケーションを行うという表記があります。
今回の市の対応は、区長名の要望書が出たことで、
「地域の要望があった。」と散布ありきの対応をしてきました。
小林純子市議が、このことを一般質問でも追及していましたが、
リスクコミニュケーションの不足は市側も認めていました。
市はこの空中散布は試験的と位置付けていますが、
それでも3年間は空中散布を続けるとのこと。
今回、少なからず散布についての議論が起こりました。
これからまた新たな1年が始まるとして、
空中散布の是非について引き続き議論を重ね、
なし崩し的に散布を継続することだけは避けなければなりません。
生態系への影響、散布による効果、該当区域内外の市民の議論や対話、
そして農薬不使用の代案となるボランティアの行動など、
さらなる議論と行動を起こしていきたいと思います。
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